そういうところが格好良くて
そういうところが可愛くて
そういうところが大好き
てのひらのうえのきょじん
年下の彼女は年下とは思えない容姿だ
背だってモデルさんみたいに高くてスタイルだって然り
きりっとした顔つきでいわゆるクールビューティって感じで
先輩からも後輩からも人気のある彼女は
私の幼馴染である熊井ちゃんだ
「…、だからそれは」
「へぇー…」
「ちぃ、ちゃんと聞いてる?」
「んー、聞いてる」
それでも私にしてみたら結構めんどうなところもある
彼女は筋金入りの頑固だ
妙に譲らないところがあって
時々、悪いことをしていなくても
説教されてしまうことだってあるくらいだ
「聞いてないでしょ?」
「聞いてるって」
「じゃあ、いま言ったこと言ってみてよ」
「えー…」
あー、スイッチ押してしまった
こうなったら、めんどうだぞ
どっちかと言わなくてもめんどくさがりで
おおざっぱが売りの私にはこれはものすごくめんどうだ
「ほら、聞いてなかったじゃん」
「いや、聞いてたんだけどさー」
「じゃあ、言ってたこと言えるでしょ」
「んー、それは無理だなー」
こうなった熊井ちゃんは止まらない
素直に謝ったらすぐ終わるんだろうけど
元はと言えば多分熊井ちゃんが長々と話始めたのがダメなんだし
正直な話、こうなった時の熊井ちゃんって
いつもの熊井ちゃんと違って可愛さが全面に出てるから
「ちぃ、笑った」
「えっ、そう?」
「うん、今笑ってる」
「あー、それは笑ってるかも」
面白くて笑ってるんじゃない
本当に熊井ちゃんが可愛くて自然と漏れて来る笑みなんだ
めんどうだけど、こういうときくらいしか
熊井ちゃんより優位に立つことができない
むきになってくる熊井ちゃんを
いつも通りに笑いながら相槌打って
あえて怒らせてみたり、からかってみたり
そういうことしないと隙が無さ過ぎて
可愛いところ見せてくれないから
「熊井ちゃん」
「…なに」
「怒った顔もかわいいよー」
ぼそっと視線を合わせずに言ってみる
照れ隠しとかじゃなくて、単に今そう思ってるから
そっちの方が伝わると思ったから
「はぁ…もういい」
「えー、そういう熊井ちゃんの方が好きだよー」
珍しく慌てる熊井ちゃんを見て、また笑ってしまう
やっぱり、格好良いだけじゃなくて
可愛いところがある様な熊井ちゃんが好きだと思った