Carry On

ランウェイを華麗に歩くえりは私の見たことのない様な表情で

華麗に舞う蝶の様に鮮やかだった



Carry On



いまの状態を的確に言うならば“興奮”だろう

なんでこんなに興奮してるかって言えば

純粋に感動することがあって、

その感動を作ってくれた人が目の前に居るからだ


「えりー」

「はいはい…って、何度目?」

「何回もしなきゃ!!勝利のハグだよ!!」

「勝利って、ウチ何とも戦ってないんだけど…」


えりは夢を叶えようとかなり努力をしている

多分、できる限り、て言うか絶対

一番近くで見てるはずだし、一番応援だってしてるつもりだ


だから、誰よりも分かっているつもりのことが一つある


えりは「一歩ずつ」だって言うかも知れないけど

かなりハイスピードで夢に近付いていってること

そのことはやっぱりえり自身より

私の方が分かってるし、感じてる


凄い凄いって思ってばっかりの私だけど

内心ちょっと焦ってる…かも

ちょっと、それがいまいち分からない

ホントは全然焦ってないみたい


「でも、えりが凄かったから勝利だよ!!」

「あー…よく分からないけどありがと、舞美」


焦ってるかどうか分からないのは

そんなことよりもえりが頑張ってることが嬉しいって言うのが本心で

自分のことの様に嬉しいと言うよりも

ストレートに嬉しいだけで十分に足りてる


私の言葉に少し呆れた顔をしたあとに

いつもみたいに優しい笑顔になって

ゆっくりとした動作でギュッと抱きしめてくれる


「舞美が見てくれてるからなんだよ」

「へっ…」

「頑張れるの…一番近くで応援してくれてるのが舞美だから」

「…それ、褒め言葉?」

「うん、褒め言葉」


クックックって笑いを堪えてるのが

くっついた身体から伝わって来る

私なんかよりもうんと速いスピードで先に進んでるのに

えりは全然変わらない、ずっと暖かいままだ

それが私を絶対に不安にさせないから

私は焦らなくても良いんじゃないかなって思えるんだ


「えり、ありがと…」

「いえいえ、舞美の力になれるなら」

「へへへ、やっぱえりはえりだ…」


進む道が違ったってえりは絶対に笑ってくれる

だから、私だってえりといた道を

これからも真っ直ぐ歩いて行けるんだ


そんなことをえりの腕の中で思いながら

えりの真似をしてくくくって笑ってみたけれど

あんまり上手にできなかった