イライラのちにニコニコ
まるでまいは変わりやすい山の天気みたいだ
イライラ≒ニコニコ
箸を大きく開いた口に運んで、さぞ幸せそうに目を細める
年上だなんて信じられない幼い表情
それがまいを少しだけイライラさせる
目の前にまいが居るって言うのに
現在、愛理の頭を占めているのはお弁当
今、口に運んでいるごま塩のかかった白米が萩原舞に勝っていると言う、
愛理なら吹き出すほど面白いと思うだろう状況
「んー、おいっしぃー」
「…」
「幸せだなー」
別に悔しいんじゃなくて、ちょっとイライラするだけ
多分、目の前にいるのが千聖だったらちょっかい出せるし
舞美ちゃんだったらイタズラしてやるし、
なっきぃだったら逆に無視するけど
愛理だとどうしていいか分からない
だから、愛理がお弁当を食べ終わるまで
何もできないし、する気も起きない
「ごちそうさまでしたぁー。あー、美味しかったぁ」
食べ終わってもニコニコと
お弁当の余韻に浸っている愛理を見ると
自然と眉を顰めてしまう
ダメだ、こんなにイライラしたいわけじゃないのに
それでも唇、どんどん尖ってしまう
「まいちゃーん」
「…何?」
「んー、お弁当美味しかったねー」
「別に、いつもと一緒じゃない?」
「だって、いつも美味しいよぉー」
そういうところ、イライラする
まいが少し強めの口調で言ったってニコニコしてる
何でもない様な時でもニコニコしている
まいがそのときどんな顔をしてたって、
愛理はお構い無しにニコニコしている
…
……
………
なんか、イライラするのも嫌になってくる
まいがどんなにそんな顔をしていても
愛理は絶対ニコニコって言うか
もしかしたらヘラヘラしているのかもしれないけど
それでも幸せそうな顔をしてる
怒ってるまいがなんか損してる気がする
「愛理、食べるの好きだからね」
「うん、それにまいちゃんがいるし」
「はっ?」
「一人で食べるより、美味しいよ」
「あっ、そ…そうだよね」
でも、やっぱりイライラしちゃうかも
だって、愛理は無意識だから
無意識に期待させちゃう様なことを言ってくれる
だから、凄く悔しくて負けたくなくて
愛理に負けないくらいニコニコしたくなるほど、嬉しくなるんだ
「んー、でも今日は特別美味しかった」
「うん、良かった」
「やっぱ、まいちゃんを前にして食べると美味しいなぁ」
ほら、また…
こんな風に言ってくれるなら
少しくらいイライラしたって
少しくらい振り回されたった
この幸せに比べたら、何てことないって思えるんだ