木漏れ日
日が差し込んで、生い茂った緑を照らす
それが届くと、雅は眩しそうに目を細めた
「気持ち良いなぁー」
ボソリと一言呟くと、うーんと一つ伸びをした
手に持ったブランケットっが少しだけ煩わしく
困った様な顔をしてしまう
速いところ、必要としている人に渡して
えりかに挨拶にでも行こう、と決意する
そして「ガーデンパーティの方が良かった」
とワガママでも言ってやろうと思った
少しだけ歩スピードを上げる
建物が建物なら、庭も庭であった
広く、果てしなく続いている様に感じてしまう
どこまでもここは苦手だと雅は思う
苛立が少しずつ沸き上がっている彼の目に
一人の姿が見えて来る
「あれ、かなぁ?」
ハッキリとは見えないが、確かに雅の目先に人が居た
これもまたハッキリと見えたワケではないが、
椅子、もしくはそれに代わる何かに座っているみたいだった
そこまであと少し、雅は小走りでそこまで向かう
「すみません、これを渡して来る様に、って…」
そう言い切る前に、気付いていた
後ろ姿は見慣れていないけど、気付いてしまった
「なんで?なんで居るの?外に出ちゃダメなんじゃないの?」
「えっ、あっ…」
「無理してない?気分は悪くない?」
「あのっ、落ち着きましょう!!」
雅の目に映っているのは、愛理だった
あの屋敷から出ることが出来ないと悲しい目をしていた、愛理だった
「ごめん、驚いて…」
「そうですよね。ちゃんと話そうって思ってたのに全然家に来てくれないから」
「ごめん…」
シュンと項垂れる雅を見て、愛理はクスリと笑った
否、雅が来た瞬間からクスクスと笑い続けていたのかもしれない
「リハビリ、って言うんですかね」
「うん」
「舞美ちゃんが連れてきてくれたんです」
「会った、さっき」
“舞美”その名前が出ると少しズキっとしてしまう
違う、その名前を嬉しそうに口にする愛理を見ると
ズキっと胸が締め付けられる様な感じになってしまう
「少しずつ、リハビリしないとって言われて」
「…」
「一緒に頑張ろうって言ってくれて」
「そっか…」
一言、一言を嬉しそうにゆっくりと話す
笑っている彼女を見るのは気持ちが良くて
だけど、笑わせているのが自分じゃないことが歯痒かった
「外に出られる様になったら、あなたに会いに行くことも出来るって」
「…そんな事言って、怒られるよ、彼に」
「へっ?何がですか?て言うか、誰に?」
「その、舞美ってヤツ」
唇を尖らせて、そっぽを向いてボソボソと雅は話す
その姿を見て、大きく瞳を見開き驚いたと言った表情を愛理は作った
「舞美ちゃん、今日のパーティの主役ですよ?」
「えっ?誰が?」
「舞美ちゃん。フィアンセさんの名前なんでしたっけ?」
途端、雅は愛理が何を言っているか理解出来なくなった
と言うよりも、耳に入って来ないと言った方が正しいかも知れない
愛理はいつものはにかんだ様な笑顔とは違い
心から面白いものを見たかの様に笑っている
「面白いですね、ホント」
「恥ずかしいよ、僕は。」
「可愛いなって思いますよ、そういうところ」
「んー、何か嬉しくない」
赤くなった頬をあおぎながら
雅は久しぶりの愛理との会話を楽しんだ