何食わぬ顔しておいて
しっかりしているから
涙出ちゃうほど、嬉しくなる
ゆめのせかい
「えっ、その日?あー、バイト入ってるけど?」
「あっ、そうだよね」
「うん。なんかあるの?」
「うぅん、別に。別に何にも無いよ…」
* * * * *
学年2個上、親友の幼馴染、目立つ人
それが私の知ってるみやで、それ以上でも以下でもない
あと、少し加えたら、最近二人きりで会う様になった
でも、それが何かあるのかって聞かれたら
胸を張って「何も無い」と答えることが出来る
一方的に私が好きなだけで、
みやはどうも思っていないだろうし
私の気持ちに気付いているわけも無い
一目惚れ、では無い様な、有る様な
気付いたらみやの全てが好きになってたから
そういう言葉で説明出来なくて、
言うなれば、これが正真正銘“恋”だってこと
そんなこと、一人寂しくベッドの上で考える
部屋の時計の針、あと少しで12まで戻ってくる
それがあと2回繰り返されたら
待っていたけど、少しつまらない私の誕生日が来る
祝ってもらいたいなんてワガママなこと言ってるわけじゃない
だいたい、みやが私の誕生日知ってるワケないし
教えた記憶も無いし、実際知らないみたいだったし
それにバイト入ってるって言ってたから会えるわけないし
ちょっとだけでも良いから会えたら
プレゼント貰わなくたって、それだけで幸せになれるのに
時計を睨んで、唇を尖らせる
このまま寝ちゃって、明日1日過ぎてしまえば
そんなこと気にしなくて良いのかな?なんて思うけど
余計に悲しくなるだけで、自然と溜息が漏れる
「だめだぁ、しずむー…」
枕に向かって顔を埋める
こんな姿見られたら、笑われるかな?
笑いながら「梨沙子はバカだなー」って笑ってくれたら嬉しいのに
フワフワとみやのことばかりを考えていたら
私は自然と目を閉じて、眠りについていた
* * * * *
うっすらと目を開ける
チカチカと光るライトとぶるぶるとした感覚で
携帯が鳴ってるんだって分かった
こんなに時間に誰だろうと思ってゆっくりと手を伸ばす
「もしもし…」
『すーがーやーおそーい!!』
「…っみや?」
『はい、みやですよー』
名前、確認してから出たら良かった
なんて思う暇も無いくらいにビックリして
擦ろうと思うくらい重かった瞼も一瞬にして開く
「どう、したの?」
『えー、どうしたのって、誕生日じゃん梨沙子』
「えっ」
『今日、誕生日でしょ』
電話から聞こえてくるみやの声、話についていけない
ちょっと待って、何で?ほんと、何で?
『愛理の誕生日プレゼント考えてたら。愛理から梨沙子も誕生日って聞いて』
「あっ、うん…」
『反応薄い、サプライズのつもりだったんだけど!!』
「驚き過ぎて、どうしたら良いか分からないんだもん…」
確かに、みやに会いたくてしかたなかった
だけど、会えないって分かってたから
ふて寝みたいな感じで寝ちゃってたのに
何で、こんなこと起こってるの?
『では、ではそんな梨沙子にもう一つサプライズがあります。窓の外見て』
「えっ、もしかして…」
『よっすー。もしかして』
「こんな時間なのに」
『だって、昼間バイトあるし、一番におめでとう言いたかったし』
しっかり表情見えていないのに、輝いて見える
何でだろうなんて野暮なこと思わない
だって、これが恋だって分かってるから
『ポストにプレゼント入れておくからさ、朝になったら見てよ』
「今は?今じゃダメ?」
『朝。もう遅いし寝て起きてからの楽しみにしといてよ』
「んー、分かった」
『じゃあ、おやすみ』
「おやすみ」
大きく手を振って、帰っていくみやを見送って
少しそわそわするのを抑えてまたベッドに入る
眠れない、ドキドキが五月蝿くて眠れない
こんな誕生日なら、毎日来たら良いのに
朝、一番最初にみやからのプレゼントを見るために
眠れない目を一生懸命閉じて
夢の世界よりも楽しい朝を迎える準備をした