崩れ始めたらガラガラと完全に壊れるまで止まらない
ねぇ、もうこんな事起こらないって約束出来る?
約束 〜1〜
冷たい床、熱い唇
綺麗なみやの顔の後ろではチクタクと時計は進んでいる
抵抗、したいのに、出来ない
本当はそんな事する気がないって知ってる
だって、私の事だもん…
今、他の人の事なんて考える余裕が無い
「…んっ、ごめん、梨沙子」
「何が?」
「わっかんないけど…」
「謝るなら愛理にでしょ?」
「そっちだって、キャプテンに…」
みやは幼馴染で親友の恋人で、私の恋人の後輩
そんな事全部端折れば、私の好きだった人
多分、今でも一番好きで、これからもずっと好きだと思う
それは誰がどうやっても変えられなくて
みやが他の人を好きになっても変えられなかった
他の誰かと、キャプテンと付き合ってみても変わらなかった
半ば、投げやりな気持ちで付き合ってるのも気付かれていて
それでも「好き」って言ってくれるキャプテンに
悪いなって気持ちがあったけど、みやを嫌いにはなれなかった
「謝るなら何でしたの?」
「…愛理に浮気されてる」
「えっ?無いって、それは…」
「でも、ホントなんだもん…」
みやが泣きそうな顔してる
泣き顔を見れるのは昔から私の特権だった
強がりのみやが泣ける場所が私だった
それと同じくらい愛理は私に何でも話してくれた
みやの事好きになったのも隠さず言ってくれた
みやと付き合う様になったのもちゃんと言ってくれた
ごめんって謝った愛理に精一杯の笑顔で「おめでとう」って言ったのに
「だからって、みやも浮気するの?」
「ごめんって…」
「良いよ、私は。みやの事好きだし」
「ここで言う、それ?」
「知ってたのに無視してた人に言われたくない」
みやも私も見て見ぬ振りばっかして、すれ違ってここに居るのを分かってる
私の気持ちに気付いて「梨沙子も好きだよ」なんて優しさ見せるみや
それが嬉しくてもみやからうつった強がりで「愛理大事にしてよ」なんて言った私
バカみたい、バカみたい、バカみたい…
「でも、梨沙子はホントに大事だから傷付けたくない」
「もう十分傷付いてるから、大丈夫」
「ごめん…」
「良いよ、私みやの事本当に好きだから」
そう言って笑って、今度は私からキスをした
愛理の顔、キャプテンの顔、皆の顔
浮かんできたけど、みやの泣き顔に敵うのなんて無くて
触れたみやの頬に伝う涙も全部、私が拭ってあげたいって思った
「…ねぇ、みや?」
「んっ?」
「愛理とどこまでした?」
「はぁっ?」
「私、それ以上にならなきゃイヤなの」
少し驚いたかな?変なヤツっていつもみたいに呆れたかな?
でも、本気でみやが欲しくて、みやのモノになりたいの
キャプテン、ごめんね…
愛理、ごめんね、そしてありがとう…
「…梨沙子が良いなら、何でも良いよ」
「じゃあ…」
この先は言わなかった、言えなかった
みやの目に写った私はただの愛理の代わりだったかもしれない
でも、確かに私はみやとの一歩を踏み出した