How to walk this way

やめてよそんな笑顔見せるのは

他に何にも見えなくなっちゃうじゃん…



How to walk this way



少し狭いスペースにくっつくようにして2人で座る

それでも窮屈だって思わないのは多分、愛理とだからだろう

美味しいお弁当を大好きな親友と2人だけで食べる

皆に秘密の場所って言うのもあって

ワクワクするし、ドキドキするし

何よりも無駄に気張らなくて良いから純粋に楽しって思える


他愛のない話をしながらパクパクとお弁当を食べる

愛理も私も食べる事が好きだから

この時間はすっごく幸せだって思ってる


そんな事を考えていると聞こえてきたのは着信音…消失点だ

愛理と2人で「みやはこれだね」ってお揃いにした着信音

私のかなって思ったけど、マナーモードにしてたはずだと思ったら

やっぱり愛理みたいで、愛理はかなり速い動きで携帯を開いた

いつもの愛理は私といるとそう言う事あんまりしないのに

どうしたんだろう?って

じーっと携帯を見つめる愛理をみて不思議に思ってしまう


少しだけど、ほんの少しなんだけど

キュッと結ばれていた口がフニャンって緩むけどすぐに元に戻る

だけど、携帯を大事そうに両手で包んでいる


「何かあったの?」

「んっ、いや…みやがあぁ!の打ち合わせしよって、それだけ。」


早口で捲し立てる様に愛理は言う

やっぱり、いつもの愛理みたいじゃない

ちょっと心配になっちゃって愛理みたいに眉が垂れてしまう


「本当に?なんかいつもと違うじゃん」

「大丈夫、ホント心配される様な事はないよ」

「ホントー?隠し事してない?」

「…りーちゃんは心配性だなー」


愛理が笑って、お弁当の蓋を閉める

大丈夫って言っていたけど、何か違う

でも、これ以上何も言えない私はとりあえず考える事を止めて

最後のおかずを大きな一口で食べ終えた


* * * * *


「あっ、愛理遅い。梨沙子おかえり」

「ごめんごめん、りーちゃんとお弁当食べてた」

「ただいまー」

「待ってたんだぞー」


楽屋に戻ると戻ってきた事を声にするよりも先に

みやが私たちを見つける

そういうところ、みやの好きなところ

冷たそうに見えて、全然暖かい

嫌いになれる要素なんて持っていなくて

どんどん好きにさせる魔法を持っている


「じゃ、りーちゃん」

「うん、打ち合わせ頑張って」


みやの方に走って行く愛理はさっきまでの雰囲気が全くない

て言うか、凄くキラキラしてる

みやの隣に立つと、自然と寄り添う見たいに近付く

顔を見合わせただけで微笑み合う二人


どうしたんだろ?って今度は自分に向けてみる

胸がズキンズキンと言っている

大丈夫だよって、何度も自分に言い聞かせる


もしかして、さっきから可笑しかったのは私なのかな?


何で、何でずっと気付かなかったんだろう…

何で、何で気付いてない振りをしようとしてるんだろう…


* * * * *


「あれ、梨沙子帰らないの?」


案の定お昼から私はずっと調子が上がらなかった

上の空、心ここに在らず

考えている事は何となくだけど

言葉にしちゃうと壊れちゃいそうで出来ない


「みや…みやは?」

「んー、ウチ今帰り。」

「…そっかぁ」

「まぁ、残り物同士一緒帰ろうか」


みやがハハハと笑っているけど何だか乾いた笑い方

ねぇ、それって愛理がいないから?

愛理じゃなくて私だから?

そんな事聞けるほど狡くないし、強くない

だから、ただ純粋にみやと一緒に居られる事を喜ぶしかしない


「うっわー、めちゃくちゃ寒いし…梨沙子大丈夫?」

「うん、大丈夫」

「ほら、梨沙子見て真っ白!!」


私の目の前を歩くみやははしゃぎながら

大きな口を開けて息を吐き出す

白く浮かんだ吐息はすぐに消えてしまう

そんな事でも嬉しそうに話せるみやが私は好きで

私も凄く嬉しくなってしまう


「…って梨沙子、手袋は?」

「あー、なんか片っぽなくしちゃって、だからしてない」

「そっかー、じゃあやっぱり大丈夫じゃないでしょ?ほらっ…」


何で?何でそういう事普通にしちゃうかな?

ねぇ、その手を掴んで良いの?

そんな事して愛理が悲しまないの?

本当は愛理と手を繋ぎたいくせに…


あー、私って最悪だ…



今、私がみやの手を握っちゃえば

ありがとう、って素直に言えたら

そしたら、そしたら私はうまく笑えるだろうし

しっかりこの道を歩けるはずなのに


「梨沙子ー、ほらっ、手冷えるでしょ?」

「だっ、大丈夫だって!!」

「えー、風邪引いたら大変だよ」

「ほんとに、大丈夫だから…」


なんでだよ…

歩き慣れたはずの道なのにみやが居るだけで

みやの後ろに愛理の顔が浮かぶだけで

私は歩き方が分からなくなる


「そっか…じゃあ、早く帰らなきゃだから急ごうか」

「…うん」


そう言って歩き始めたみやの背中がはっきりとしないのは

距離が離れているからで

決して目に涙がたまっているからじゃないって

私は必死に目を擦った