like a puppy

まるで犬みたいだ


フワフワと気持ちの良い感触に

チョコチョコと後ろを着いてくる姿

欠伸がうつっちゃうところだってまるで犬


だから言うよ、おやすみ

そして・・・



 

like a puppy


 


“誰かの肩が無いと眠れない”なんて

フツーに言われたら、結構引いちゃうような事も

梨沙子が言うと、不思議と“一緒寝る?”と返してしまう

それはウチが梨沙子を甘やかしているわけでもなくて

確実に彼女が持つ魅力のせいだと思う

グループ内では末っ子だって言うのもあるけど

他に理由の無い、説明出来ない可愛さがある


それをウチだけに見せてくれるんなら良いんだけど

無意識に皆にそういうところ見せてるから

ウチはなーんか嫌になっちゃって、

皆の前では梨沙子に優しく出来ないんだ


でも、二人で居たら出来る限り優しくしようって思うんだ


梨沙子の背中にギュッて抱きついて、深く溺れるみたいな感覚を得る

溺れると言っても水の中に沈んで行く感じじゃなくて

フワフワの暖かい“何か”の中に居るみたいな感じ

愛犬ピースくんにグリグリと顔を押し付けた時の感触に似てる


「みやー、どうしたの?」

「んー…」


そんな幸せな一時を作るのが梨沙子ならば

低く響く声だけで簡単に壊しちゃうのも彼女なワケで

案外、ウチの方が振り回されちゃってる

最初はちょっと不本意だって思う時もあったけど

ウチ犬好きだし、仕方ないかってなってきた


「くすぐったいよー」

「んー…でも、梨沙子の背中好きなんだもん」

「えー、なんかそれ嫌だぁー、背中広いみたいじゃん」


“好きなんだもん”なんて、まるで梨沙子みたいな口ぶり

ウチが言っても、あんまり可愛くない

梨沙子の口から聞いた方がやっぱりしっくり来ると思う


でも、自然とそういう口調になっちゃうのって

それがうつっちゃうほどそばにいて

誰よりも近くで聞いているからだって思うと

嬉しくなって小さく笑ってしまう


「みや、息もかかるしくすぐったいって」

「この状態、ダメ?梨沙子は嫌だ?」

「嫌じゃないけどー、なんかみやっぽくないんだもん」


う〜ん、確かにそうだ

ウチっぽくないのは、自分でも分かってる

でも、そういう部分だって元から少なからずはあって

いくら恥ずかしくても梨沙子には見せても良いし、

見てもらいたいって思っている


それは梨沙子がウチになんでも見せてくれるからだ

寝起きの顔だって、怒って膨れてる顔だって、悔しくて泣いた顔だって、

嬉しい時の飛び切りの笑顔だって

ウチは梨沙子に出会ってから、ずーっと、沢山貰ってきた


最初は懐いてくれてる梨沙子が単純に可愛いなって思うだけだったのに

それが五月蝿いなって思っちゃった時もあったけど

昨日も、一時間後も、ついさっきだって、今だって

梨沙子と居たって事実があって欲しくて

出来るならば、結構ずーっと先までそういう事実があっても構わなくて


“ちょっとおかしいぞ、しっかりしろ!!”

って言われても仕方ないくらい、ウチどうかしちゃってる


「えー、ウチっぽくないって?」

「そーゆうことして良いの、私だけだもん」

「ウチだって甘えたいんですー」

「カッコいいみやが良いの、猫みたいにスマートな感じ」


猫、かぁ…確かにウチは猫っぽいって言われるけど

犬の方が絶対好きなんだよなー

あっ、でも梨沙子は猫が好きだし、ウチらって丁度良いのかも

って思うと、ウチ猫っぽくて良かったって思える


「あっ、でもねこうやって時々甘えてくるよ猫も」

「ほうほう」

「だからやっぱりみや、そうでも良いかも」


梨沙子に“良い”って言われるウチ

梨沙子の好きなウチで居られてるって事だし

無理に努力しない、素のウチを好きって言ってくれてるんだもんな

それってちょっと、かなり嬉しい事だ


「みやぁー」

「んー」

「なんか温かくて眠くなってきちゃった」

「そう言えば、ウチも眠いかも」


ウチの手をスルッと解いて梨沙子が振り返る

確かに眠そうでトロンとしちゃってる…


そんな事思った瞬間にどちらともなく欠伸がもれる

もう、これは迷う事無くベッドに直行コースだ


「梨沙子、おいで。寝よう」

「うん、寝る。」


チョコチョコっと歩いて、ポスンとベッドに入る梨沙子を見て

ウチもゆっくりと隣に入る

ほどよい暖かさで、眠気が更に襲ってくる


「ふぁー、すぐ寝付けそう」

「うん、ウチも」

「じゃあ、みや…おやすみ」

「うん、おやすみ」


梨沙子はそう言ってゆっくりと瞼をおろした

それを見届けて、ウチは少しだけ梨沙子の顔を見つめる

言葉通りすぐに規則正しく寝息が漏れ始める

子どもっぽいって思うけど、そこが可愛くて仕方なくて

フフフと笑うとウチも目を瞑りながら囁いた



「梨沙子、お休み…大好きだよ」