私の親友は思いのほか積極的だと思う
私には出来ない様なことも簡単にやってのける
「先輩!!」
「あっ、愛理じゃん。また会ったね」
「えヘヘヘー」
さっきまで座っていたベンチから立ち上がって私から少し離れた所で
背が高めでちょっと日本人っぽくない先輩と話している愛理
確か梅田先輩とか言ったっけ?と今日も嬉しそうに話している
私はそれを見守りながらも、うらやましがっている
* * * * *
毎時間休みがやって来る度に私と愛理は渡り廊下にあるベンチで過ごす
それはそのベンチが日当りが良くて気持ちが良いからって言う理由なんだけど
いつからかそれは変わって、今となっては二人とも違う理由がある
愛理の理由は梅田先輩で、私の理由は名前も知らない先輩
愛理は確実に恋で、私は多分恋
愛理が笑顔で先輩と話す姿を見ていると、私のは果たして恋なのか分からなくなる
愛理みたいにその人に話しかけたり出来ないし、その前に名前すら知らない
知っているのは私より2つ上の高校2年生ってことだけで
だからと言って、もっと沢山何かを知りたいなんて思わない
ただ通り過ぎて行くその瞬間、見つけることが出来たら
それだけで良いって思える私がいるのが事実だ
「あっ…」
そんな風に一人考え込んでいたら、あの人が通る
明るい茶色の髪がサラサラと揺れる
その度に窓から差し込む光がキラキラとラインストーンの様に煌めく
ただ、通り過ぎる
誰でもするどうでも無い様なことなのに、
その一歩一歩が絵になる様に過ぎて行く
その全てを見ていたくて、私は瞬きを忘れて見入ってしまう
私が見ていることなんて絶対知らないだろう
今日も隣を歩く友達と楽しそうにはしゃぎながら歩いている
少しでも良いから、あの人の視界に入っていたい
どうしてそんな事を思っているんだろう?
「りーちゃん」
「愛理…」
「今、あの人通ったでしょ?」
「うん…」
梅田先輩と話を終えたのか、愛理が嬉しそうな表情で戻って来る
そんな姿を見るとさっきまでのドキドキが落ち着いて来る
やっぱり恋なんだろうか?
私にはまだ、それが何か分からなかった…