こういうとき、ちょっとだけ年下で良かったって思える
だから、もう少しだけ素直に甘えてみようかな
tell me baby
今日は珍しくみやが早く楽屋に来ていた
だから、自然と話すペアが決まっていた
みやと梨沙子、キャプテンと桃、ウチと茉麻
まぁ、そういう風に二人一組みたいになっては居るけど6人集まっていて
いつもの様に他愛無い事で盛り上がっていた
「おっはよーございまーす」
「「おはよー」」
元気な声での挨拶は一瞬にして楽屋を更に明るくさせる
ウチ、ちぃのそう言う所好きだなって思ってる
ちぃも辛い事とかあるんだろうけど
皆には心配かけない様に小さな心遣いとかしていて
そう言う所、感心してるんだよ
鞄や上着を置いて、準備を始めるちぃ
終わったら直ぐにウチの所に来てくれるかなーなんて、ワクワクしながら思っていたのに
椅子に座ったまま動かないし、遂には机に突っ伏してしまう
あれ、疲れてるのかなー?なんて思ったんだけど
茉麻との話が盛り上がってしまって、ちぃの傍に行けなかった
ちょっと、それは後悔してる
ウチの気持ちはどうやら上手く伝わらないらしいから
少しでも態度で示さなきゃなって反省してる
* * * * *
何か可笑しいって思ったのは仕事が全部終わった時だった
今日ウチまだちぃと話してない、それに気が付いた
…て言うか、軽く避けられてる様な気がしてならない
お疲れーって皆が楽屋を出て行くけど、ウチはどうも動けないでいる
ちぃに何かしてしまったのかな?なんて思っちゃうと
どうしても何かをしようと思う気持ちが出て来ない
帰り支度は整っているのに、下を向いたまま一歩が踏み出せない…
「…熊井ちゃん」
「…ちぃ」
「早く帰ろうよ」
いつもみたいにちぃが笑いかけてくれる
ウチはそれに頼りなく笑い返す事しか出来なくて
また、ちょっとだけ悲しい気持ちになってしまう
「ちぃ、あのさ…」
「熊井ちゃん、今日寂しかったなーなんて千奈美は思っています」
「あっ、やっぱり…ごめん」
ウチは深々と頭を下げて、ちぃに謝る
ちぃとはいつもみたいに笑い合っていたい
さっきみたいな苦笑いだけはしたくないって思う
だから、その思いを伝える為にもちぃが何か言ってくれるまで頭を下げ続けようと思った
「熊井ちゃんさ、千奈美の事どう思ってる?」
「明るくて、楽しくて、時々面白く無いギャグも言うけど、凄く好きだよ」
「じゃあさ、そういうのもうちょっとだけ分かりやすくして欲しいな…」
ちぃは後ろ手を組んで床をコツンと蹴って、
それはウチにも拗ねてるんだって言うのが伝わって来る
なんかダメダメだなーって思えて来て、情けなくなってしまう
「でも、熊井ちゃんがちゃんと千奈美の事好きって言ってくれたので、良かったと思いました」
「ウチもちぃの気持ちちゃんと知れて良かった…これからは、もうちょっと隣に居ようと思いました」
「ありがとうございます」
「うぅん、本当にそう思ってるんだよ」
ウチはしっかりとした声でちぃに向かってそう言った
ちぃはそれにいつもよりも目尻を垂れさせて笑ってくれる
パァーって雨空が晴れた様に明るい気持ちになれる笑顔で
気付いたらウチはちぃの手をギュッと握っていて
その手を絶対に離さないぞって思った
「熊井ちゃん」
「なぁに?」
「手、ちょっと痛い」
「あぁ、ごめん…」
それでもちぃはまだ笑ってくれていて
ウチはやっぱりかなり嬉しくて
握ったその手が赤くなってしまったのがちょっとだけ面白く思えた