何をしてても、どこにいても
結局、君の事ばかり考えてしまう
相談
「そこ、寝る所じゃないんですけど」
「あっ、おかえりー」
佐紀が事務所に入ると直ぐに雅の姿を見つけた
しかし、その姿は有り得ない格好で
事務所の床に寝転がって、ごろんとしている
「珍しいですね、こんな時間に」
「んー、相談があって」
雅がピョコンと起き上がり、ヘヘへっと頼りない笑顔で笑った
それを珍しく思った佐紀はどうしたんでの?と首を傾げる
雅はそれを見て安心したのか、雅は椅子を2脚準備した
「単刀直入に聞くんですけどね」
「はい」
「キャプテンはさ、人に笑ってもらいたい時どうする?」
「はいっ?」
雅が相談して来る事はそう珍しい事ではなかった
何かある度に佐紀を頼って来ていたけど
普段は五月蝿いくらいに元気な雅が真剣な顔をしているから
ふざけていられる状況ではないんだろう
今回はどうも雰囲気が違うんじゃないかと、感じ取った
「この前ね、写真撮ったの」
「うん、それで」
「皆の笑顔って何か好きだからさ、笑顔の写真」
「うん」
「でも、その子笑ってくれなかったんだ…」
雅がションボリとしてうな垂れる
本当に落ち込んでいるんだと言う事がヒシヒシと伝わって来る
「写真嫌いな子だったんじゃない?」
「撮っても良いってちゃんと確認した」
「どんな感じになったのさ?」
雅は胸ポケットからピラリと一枚の写真を取り出した
それを受け取り、眺めると確かに納得だと佐紀は思った
しかし、笑顔ではないけれど、はにかんではいる
どう考えても、嫌な印象は受けない
「みや、これさ…」
「写真が嫌だったのかな?」
「みや、だからね…」
「あー、て言うか先ず僕好かれてないとか?」
「相談のってあげてるんだから話を聞きなさい!!」
自分の世界に入ってしまって、話を聞かない雅に
佐紀はコツンと一発拳骨を入れて黙らせる
「イテッ!!」と頭を抑えて、涙目になる
「みやが心配する必要ないと思うよ…多分、写真に慣れてなかっただけだって」
「ホント?本当にそう思う?」
「うん、そんなに心配しなくていいと思う」
「じゃあさ、どうやったら笑ってもらえるかな?」
キラキラとした目で雅は聞いて来る
本当に鈍感なんだなーと思いながら、佐紀は笑い出したくなる
でも、雅は全くそんな事に気付かないで、ドンドン問いつめて来る
「その子の事分からないから、何とも言えないけどさ…気持ちは伝わるよ」
「そうかなー」
「うん、大丈夫ちゃんと伝わりますって…みや格好良いし」
佐紀がそう言って励ますと、調子に乗った様にはしゃぎ始める
その様子を見て、佐紀はふーっと一息ついた
「で、その子誰なんですか?」
「んー、丘の上の屋敷の子」
「へー、そんな子が住んでいたんですね」
雅は自慢げに丘の上について色々な事を話始める
佐紀は笑顔で相槌を打つ
無邪気に話す雅はすっきりとした表情で
佐紀は、やっぱり雅は鈍感なんだなと思った