誰にでも道は開いている

みやは真新しい制服を既に着崩していた

それが無駄に似合っているのは、みやだからなんだろう


僕たちはかなりの急展開だった

僕はどうしようもない初心者だったから、猛特訓をした

その間、みやは僕に付きっきり

結構な時間を費やして、やっとコードを覚えた


僕はみやが中3だって事をすっかり忘れていた

僕たちが部活をしてる時に、部長の吉川先輩と顧問の稲葉先生がやって来て、みやに説教をしてた

それ以降は、みやは泣きながら勉強をする日々

吉川先輩がみやの勉強をよく見ていてあげたみたいだ

部活中にも2ショットを頻繁に見掛けた

まぁ、吉川先輩が優しくて、賢くて、綺麗だからみやは少しデレデレしていた


お陰でみやは可哀想な結果にならずに済んだみたい

進学校ではないけれど、結構倍率の高い、総合高校に入学出来た


みやはバンドの練習も頑張っていたし、かなり努力したんだと思う



ちなみにみやに“先輩”って呼んだら100円ずつ募金と言われ、3500円くらい募金した頃には自然とみやって呼んでいた


* * * * *


「でさ、人違いですって毎日言ってる気がするわけよ」

「似てるんですかね、その人」

「さぁ?でも、キッカもその人見たらしくて似てるって言ってた」


今は梅田で豚玉を頬張りながら、みやの入学おめでとう会をしている

ちなみに、資金は僕がした募金から出ているらしい


制服姿でも妙に格好良いみやは、お好み焼きすらよく似合う

入学早々愚痴があるみたいで、みやの口は食べたり、喋ったり忙しい


「その人の名前なんて言うんですか?」

「あ〜…忘れた、微妙にインパクトに欠けるって言うか…」

「夏焼に敵う名字なんてそうないですもんねぇ」


みやの愚痴は少し面白かった

どうも、同じ学校にみやに似てる人が居るらしい

しかも、かなり似ているみたいで今のところ毎日の様に間違えられているんだって

その人も結構な男前なんだろう

僕はかなり興味津々に、その話を聞いた


* * * * *


僕たちが豚玉を食べ終えて、イカ天も頼もうかなんて言ってる時に桃がやってきた


「あー、もうっ!!桃が来るまで待っててって言ったじゃん」

「ごめん、お腹ペコペコでさ…」


悪い悪いと言いながらみやは手をあげて桃に挨拶をする

僕もペコリと頭を下げて、挨拶をしようと思ったけど

桃の後ろの人が気になって出来なかった


「有沙さんもお祝いしてくれるってよ、みーやん」

「あっ、どもでーす」


有沙さんって言われたその人は、まぁまぁ明るめの茶色い髪、あどけない感じの顔立ちをしていた

だけど、みやも桃も微妙に敬語だし年上みたいだ(そうは見えないけど…)



みやが隣に来いって言うから僕はみやの隣に座って

僕の向かいに桃、その隣が有沙さんって形で座った


桃と有沙さんがメニューを見ながら話している時にみやに小声で尋ねる


「ねぇ、誰ですか?」

「ツグさんの多分、今の恋人でスタジオでバイトしてる大学生」

「多分、恋人って…」

「いや、ツグさんよく分からんし…」


みやすらよく分かっていないらしい

だけど、あんまり気にしてないみたいで普通にしていた



特に何の問題もなく、みやの入学おめでとう会はおわった


「じゃあ、明日練習19時からね」

「はぁーい」

「桃、今からデートだから、ここでバイバイ」

「おうっ、じゃあ明日!!」


結局、僕とみやの二人に戻った

帰り道、トボトボと歩きながらみやは歌っていた

そう言えば、歌声は初めてだ


…て言うか、すっごく格好良いんですけど


「歌、上手いですね」

「んっ、ありがと…」

「そういや、ボーカルとか決めてないですよね」

「あっ…」


今の今までそんな事忘れてたって表情

まぁ、みやらしいって言えばそうなんだけども…


「…まぁ、今度カラオケにでも行って考えようや」

「はぁい」


それで良いやって思える僕はかなりの部分をみやに汚染されてしまった気がする