×××私と先輩××× 06

「で、どこ行きたいの?」

『うーん、映画見たいかなぁー』

「じゃ、そうしよっか」

『うん、みやありがとう』


* * * * *


雅の前を歩き、自分の手をブルンブルンと振り回し上機嫌な梨沙子

休日の今日、大好きな雅と見たかった映画を見た帰りに

雅とブラブラとウインドウショッピングを楽しんでいる


「さっきの映画小物とか凄く可愛かったなぁー」

「あぁー、何か梨沙子の好き系の感じだったね」

「それにさ、あの泡風呂とか憧れるなぁー」


梨沙子は目をキラキラと輝かせ、さっきまで見ていた映画の世界を思い出している

雅はそんな梨沙子を可愛いなぁと思いながら見つめる

梨沙子は少し後ろに下がった雅を振り返り、笑顔を作る

ん?と言った感じで、雅が首を傾げると梨沙子も首を傾げる


「あのね、みや…」

「んー、何ですか?」

「泡風呂入りたーい」


梨沙子が無邪気にそう言うと、雅は困った様に頭を掻く


梨沙子は本を読んだり、映画を見た後、必ず雅に無理なおねだりをしてくる

それは多少頑張れば叶わないものではないが、雅は普通の高校生だ

財力も無ければ、地位も名誉もない、極普通の、少し格好良いだけの高校生

梨沙子のおねだりを出来る事ならば、全て叶えてあげたいが

それは梨沙子の大好きな夢物語でしかない


「そんな事言われてもどうすりゃ良いのさー」

「知らないよー、みやが考えてよ」

「えー…」


梨沙子は少し我が儘な所がある

それは小さい頃から可愛がられて育って来たから仕方のないもので

雅は彼女のそんな所も魅力だと思って、受け入れている

泣き虫で、弱虫で、それなのに意外と頑固で表情がクルクルと変わる

周りの皆はそれを“百面相”と言うけれど、

雅にとっては一瞬一瞬見逃せない“万華鏡”の様なものだった


「んー…あっ、良い事思いついた」

「ホントっ?」

「うん、梨沙子こっち、こっち」


雅は梨沙子を手招きする

その表情は何か企んでいる様な感じで

梨沙子は少し不安になりながらも、雅の手を握って着いて行った


* * * * *


「泡風呂、入ろう!!」


雅がテンション高めに梨沙子を誘う

梨沙子はポカンと口を開けたままで雅を見る

確かに泡風呂がここにはあると、梨沙子も思った

しかし、明らかに雅には泡風呂以外に目的があるとしか思えない


「みや…」

「んー?」

「セックスしたいだけじゃん」


梨沙子はきっぱりとそう言い放つ

雅はそれをケロッとした表情で聞き流す


「だって、梨沙子が泡風呂って言ったじゃん」

「うん」

「入浴剤買ってあげるか、これしか思いつかなかったから」

「…」


梨沙子は不満そうな顔をする

しかし、雅は一応ではあるが梨沙子のおねだりを聞き、叶えようとしている

それを無碍には出来ないし、これで雅はふざけているのではなくて大真面目だったりもする


「仕方ないなぁー、みやって本当バカだから」

「えー、梨沙子の為にちょー頭使ったんだけど」

「イヒヒィー」


梨沙子と雅は顔を合わせ、笑い合って

ホテルの中へ入って行った


* * * * *


「みやー見て、見て!!ちょー凄いんだけど」

「おっ、おー…!!」


バスタブいっぱいに溢れる泡を見て、梨沙子は感嘆の声を上げる

そんな無邪気な様子を見て、雅も自然と笑顔になる

梨沙子の幸せは俺の幸せなんだなーとか思いながら、雅は彼女の傍に寄り添う


「もう入れるよ」

「うん、入ろうか?」

「うんっ!!ちょー楽しみぃ」


ソワソワしている梨沙子をよそに雅は早々とシャツを脱ぎ始める

梨沙子はそんな彼を苦笑いで見ながら、自らも脱ぎ始める


もう何度もそういう関係を持っているが、この瞬間に慣れる事は無い

好きな人に何も隠さずに全てを見られる

それは良い事なんだけれど、そう言う時程本当の気持ちが見えて来るんじゃないかと梨沙子は思っている

どんな時でも雅は優しいが、いつそれが変わってしまうか分からない

そんな不安が梨沙子の中にはある


「てか、ジャグジーだから泡が消えない!!梨沙子、良かったね」

「うん…」

「あんま嬉しくない?」

「うぅん、嬉しいし楽しいよ」


雅は梨沙子が暗い表情をしたのを見逃さなかった

彼女の肩を抱き、顔を近付ける

梨沙子は顔を背けようとするが、雅はそれを許さない


「俺、梨沙子の為に一生懸命なんだけど」

「分かってるよ、分かってるけどね…ちょっと不安」

「何で?」

「だって、みやそうやって誰にでも優しくしてない?」


梨沙子は頼り無さそうに雅を見つめる

そんな不安は要らぬ心配だと言った様に雅は鼻で笑う

彼女はそれに不機嫌そうに口を尖らせる


「梨沙子だけに決まってるじゃん、そんなの」

「本当に?」

「うん、梨沙子しか見えないし、俺」


ギュッと梨沙子を抱きしめ、雅は笑う

その腕の中で梨沙子の胸が直接雅に当たる

ニヤニヤと笑いながら雅は梨沙子を抱き続ける

既に彼の下半身はムラムラとなっている


「梨沙子、胸…当たってる、当たってる」

「あぁ、ごめん…入ろうかお風呂」

「あっ、うん…」


梨沙子はさっきまでとは打って変わって笑顔で雅を見る

雅は少し肩すかしを食らった気分だが、うんと大きく頷いた