幸せ繋ぎ

二人を繋いでいるものが

二人を幸せにしているそのもの


幸せ繋ぎ


「何か顔近くない?」

「そうかなぁ?」


えりかが顔を少し顰めているのと対照的に満面の笑みを見せているのは舞美

それはまるでご飯を目の前にして“待て”と言われた犬の様に瞳が輝いている

えりかは冷静にそれを見て、次に打つべき手を考える


(今の状況はベッドの上にウチ、その隣に舞美、か…)


顔だけ横を向けて舞美を見ているえりかは、顔を背け天井を見る

舞美が小さく「えっ」と呟くが気にせずに一度、伸びをする


「起きる」

「そっかぁー良かった」


何が嬉しいのか分からないが舞美はパァーッと笑顔になり、嬉々とした声で反応する

えりかはもう少し寝ていたい気持ちがあったが、この状況では無理だと判断し素直に起き上がった


こんな事はもう何度かあった

と言うか、えりかの家に遊びに来ては毎回そうだ

夜はえりかと一緒のベッドで寝たがるし、

朝はえりかより先に起きて何が楽しいのかえりかの寝顔を眺めては楽しそうにしている


えりかも最初は舞美は案外寂しがりだったりするんだろうと思っていたが

こうも毎回続くと少し不思議で仕方ない


「舞美今日も早起きだったね」

「うん、えりの寝顔見てた」

「可愛かったよー、えりの寝顔」


舞美は先ほどから笑顔を崩さずにえりかを見つめている

えりかは舞美からそこまで思われている事に嫌な感じはしない

しかし、どうしても不思議に思ってしまう

自分はそこまで舞美に思われる様な事をしただろうか?と


ただ、その疑問と同時に思う事がある

ウチもそれくらい舞美の事思ってあげたいな、と


「えっとね、写メした」

「えーっ…ホント好きだねー」

「んー、だってえりだもーん」


写メされる事もお決まり過ぎて慣れてしまった

最初は恥ずかしくて、何があっても消去させていたが最近ではそれもしなくなってきた

どうも舞美の笑顔を見ていると、そんなに小さな事はどうでもよくなってくる


舞美が笑った、それが嬉しい

えりかがはっきりと分かっている事はそれだけで

でも、それが一番大事なんではないかと、

えりかはうっすらではあるが、それが分かり始めて来ている


「待ち受けにしたんだー」

「この前もしてたじゃん」

「だって、どんどん更新しなきゃ」


舞美は携帯を大事そうに抱えてその場でクルクルと回る

それはまるでおもちゃを買って貰った子どもの様なはしゃぎ様で

えりかはベッドに座ったまま、それを見つめる


「ハハハ…」

「あ〜、えり笑ったなー」

「いやぁ、舞美可愛いなぁーって」


えりかは思ったままを伝えた

舞美は一瞬驚きの顔を見せるが、直ぐに笑顔に戻る

えりかもそれを見ると心の中が暖かくなり、優しく微笑む


「ホント?」

「うん、舞美は可愛いよ」


えりかはそう言って両腕を大きく広げた

舞美は待っていましたとばかりにそこへ飛び込む

二人してベッドへ倒れ込みながら、笑い転げる


「えりぃ〜」

「んー?」

「ヘヘヘー、好きっ!!」


舞美が頬をえりかに頬を擦り寄せる

その表情は幸せそのもので、えりかもその表情を見ると幸せな気持ちで満たされる様だった