好きか嫌いかって聞かれたら嫌いじゃない
だからと言って常に一緒に居たいかって聞かれたらそうでもない
Binary
「メンドクサイ」
気付いた時にはあ〜言っちゃったぁって思ってた
だけど、そんな事も面と向かって言えるくらいの関係
要するに、隠し事は何にも無いってヤツだ
「えっ、みや何て?」
「メンドクサイ」
「何が?」
「舞美と居るのが」
たまたま放課後、帰る時に部活に向かう途中の舞美に会った
そう言う事は時々あって、特に何かを話すワケじゃないんだけど、ちょっと世間話みたいなのをする
そんな時にウチが突然「メンドクサイ」と言った
舞美はそのウチの発言に驚いている
鳩が豆鉄砲ってヤツを食らったらこういう表情をするらしい
「あぁ、そっかー…で、何で?」
「えっ、なんでだろ?そう言う所じゃない?」
舞美の何がメンドクサイって聞かれても上手く答えられない
でも、多分そう言う所がメンドクサイんだと思う
舞美と居ると色々考える事がある
好きか嫌いかとか、仲が良いか悪いかとか
でも、そういうヤツにいちいち答えが出せない所がメンドクサイ
仮に一個の問いに答えが出たとしても、次は?あれは?これは?それは?
どんどんと新しい疑問が生まれて来る
ウチはそれがどうしても分からなくなる時がある
「でもさ、それって…あのさぁー」
上手く言葉に出来ないウチの考えを何とか読み取ろうとしてくれる
そう言う所はありがたいけど、それがちょっと煩わしい
「雑誌でよくあるじゃん、YesかNoかで進んで行って、答えに辿り着くヤツ」
「うん」
「そんな感じなんじゃない?」
舞美はえらく真剣な顔でフンフンと言いながら説明を始める
ウチはとりあえず、それを聞くしか出来ない
「みやがAって思った事の次にBが来るかCが来るかなんて分からないし」
「うん」
「答えが0と1ってワケじゃないんだよ」
ほうほうとウチは納得する
それと同時に何かこんな話しってるなーって思う
「0と1だけだとしてもさ、いろんな組み合わせがあるわけで」
「そういうの何て言うんだっけ?」
「確か二進法」
「二進法」
舞美は得意気な顔でそう言った
ウチはあんまり理解は出来ていなかったけど、
何となくだけど答えが出た気がした
「だからさ、面倒だなって思うのはそれだけみやが私の事考えてるってことなんだよ」
「いやっ、それは否定しとく」
「ハハッ、そっかぁ〜」
間延びした返事にウチはうんと頷く
要するにウチと舞美の関係って上手く現せないから、めんどくさいんだ
「じゃあ、私部活行くよ」
「うん…」
バイバーイと手を振って行く舞美をよそにウチの頭の中で一つ結論が出た
「あーっ!!」
「えっ、みやどうしたの?」
「呪いのビデオだ」
さっきの舞美の話
答えをどんどん選んで行く話が何に似てるか思い出した
「何が?」
「ほら、ダビングして回してくヤツ…舞美の話聞いたら思い出した」
「そっか…」
舞美は何故か苦笑い、全く失礼なヤツだ
「気をつけなきゃね」
「うん、舞美もね」
「うん、じゃあ今度こそ」
ウチはすっきりした気持ちで手を振る
さっき、出会った時よりかは少しだけめんどくささが軽くなった気がする
多分、1個だけかもしれないけどウチは疑問の答えを出して前に進んだんだろう
「あーっ!!」
そんなすっきりした気分になっていたウチの耳に届いたのは舞美の叫び声
もう結構遠くに行っていたのに、舞美が走って戻って来る
「みやっ!!」
「何ぃ〜?」
「多分、今はDVDだと思うよ、ディーブイディー!!」
「何が?」
「呪いのビデオとか言うヤツ」
舞美は「じゃっ、今度こそ本当に行くから」と言って、また走って行った
ウチは一瞬だけ呆気にとられたけど、それでもすっきりしてた
「ハハっ…」
そんなウチらがどうも可笑しくて、小さく笑うと舞美みたいに走り出した
その足取りは結構軽くって
さっきまでめんどくさく考えていた事がバカらしくなった