Let's laugh

ゆさゆさと揺れる感覚

いつもとは違って優しい感じのそれで、違和感を感じながらも目を覚ました


「おはよー」

「んー、おはよ…」


目を擦って前を見ると、ウチを起こしたのはまあさんだった

しっかり者で気が利くまあさんが起こしてくれたって事は、ウチ結構寝てたみたいだ


ヤバい、今から本番なのにと思うと、眠たさなんてすぐにどこかへ飛んで行く

顔、浮腫んでないかな?時間、大丈夫かな

と不安になりながら周りを見渡すと、そこまで皆焦ってない

…良かった、最悪の事態ではないと安心する


「今日、よく寝たねー」

「あー、何か静かで、寝やすかった…」


静か?寝やすい?

いつもならあり得ない言葉が出て来る


楽屋で寝ようと思うと何かと邪魔が入る

それはウチ自身が感じてしまう誘惑であったり、はた迷惑な構ってコールだったり

今日はそれが無かったから、こんなにも寝てしまったみたいだ


「あれっ、キャプテンは?」

「舞美ちゃんに呼ばれて行った」

「そっかー、あと二人は?」


楽屋に居ない駄々っ子二人と我らがキャプテン

キャプテンはスタッフさんに呼ばれたりいろいろ忙しいのは分かる

残りの二人は知らない、何をしでかすかなんて、安易に予想出来る事じゃない


「アッチ行ったみたい」

「そっか…じゃあ静かだね、って事でウチあと少し寝るわ」

「いやいやいや…行ってらっしゃい」


まあさんがクリクリとした目を閉じて、優しく笑いかける

あー、これは逆らえないぞ、とウチは苦笑いを返す


「えー、まあさん行きなよ」

「だって、梨沙子はみやの言う事なら聞くし」

「でも、桃は無理…あいつは無理」


一人は構えても、二人構える程ウチの作りはタフじゃない

と言うか、寝起きでちょー怠いし、出来る事なら本当にあと少しで良いから寝たいし

でも、まあさんは動かざる事山の如しだからなぁ…


「はぁ、行って来る…最悪、両方置いて来る」

「頑張れー」


* * * * *


廊下に出てすぐ左隣、あいつらはそこに居る

距離にしたらほんの少しなのに、ここまで足取りが重くなるのはあの二人が本当に厄介だから

いや、まぁ…そこが可愛かったりするんですけどね


「みや」

「あっ、キャプテン」

「どったのー?」


舞美と二人で廊下からやって来たキャプテン

苦笑いのウチを見て、瞬時に「あぁー」って頷くのは流石だと思う

キャプテンはそんなウチの肩に手を置いて、頑張れとだけ言う

 いやいやいや…キャプテン、あなたキャプテンでしょうよ!!

ウチはその手を離さない様にガシッと掴んだ


「一緒に来てよ」

「無理!!忙しいから…ねっ、舞美?」

「えー、もう終わったから大丈夫だよー」


舞美ちゃんの空気の読めなさに喜ぶウチと、落胆するキャプテン

そんなウチらを見て、舞美はキョロキョロと楽しそうだ


「さぁさぁキャプテン、お願い」

「えー、みやが頼まれたんでしょー」


ドアの前でどっちが連れて帰るか揉めるウチらを無視して

舞美ちゃんが思い切り良くドアを開けた


「梨沙子、桃お迎え来たよ」


キャプテンとウチは軽く驚いて、舞美ちゃんの方を向く

舞美ちゃんが遮って入るけど、開け放たれたドアから覗く向こう側

えさを目の前にした犬の様な表情のバカ二人…


ウチとキャプテンの間に言葉は無かったけど、心が通じ合ってるってヤツ?

ソロリ、ソロリと後ずさり、小さくダッシュをしてはウチらの楽屋に滑り込む


「みやー、お迎え来たの?ねぇ、今のお迎え?」

「キャップー、今もしかして逃げたのぉ?」


予感的中、外からはえさに飛びついて来た犬2匹…

ちゃんと楽屋に連れて来れたのは良いんだけど、コレが嫌なんだ


「梨沙子、あのさ…重い」

「桃、結構うざい」

「「ひどーいっ!!」」


苦笑いのウチとキャプテン

そんなウチらをジーッと口を尖らせて、見て来る

それがどうも可笑しくて、堪え切れなくなってウチらは笑い出す


「「プハハハー!!」」

「えっ、何?桃なんか変な事した?」

「私は?私可笑しい?」


今度は妙に真剣な顔の二人

あー、ダメだコイツらって思っちゃうんだけど、結局いつもこの調子

でも、そんなのがウチらだし

そう思うと、こういうのが一番好きだったりしちゃう


でも、それはまだ皆には内緒

いつかきっと、もっと凄く大きくなったこの気持ちを

ちゃんと皆に伝えようって思うんだ


だから、それまで、笑っていよう