Bloomin'

スタ…スタ…と自分の歩く音が聞こえる

一人だから、やけにその音が耳に付く

それが不満で口を尖らせながら、やっぱりスタスタと歩く


歩く音、風の音、街行く人の話声

その中に大好きなあの声は無い…


つまらない、なんて思いながらも歩き続けると視界の端に淡いピンクが飛び込む


「わぁーっ、桜満開だぁ…ねぇ、みや!!見てっ!!って…」


綺麗なモノは一番にみやに見てもらいたい

美味しいモノはみやと二人で食べたい

私のお気に入りはみやと共有したい


でも、今みやは私の隣に居ない


さっき喧嘩をした

私がみやの話を聞いてないか、みやが私の話を聞いてないか

そんな些細な事で喧嘩をした


「私、みやの話ちゃんと聞いてるもん…」


確かに私はボーっとしてる方だ

だけど、大好きなみやの話は何よりも一生懸命に聞こうとしてる

どんなに小さな出来事でも少し大袈裟に話すみやを、私は逃さない様にしてる

今日だって、どっちかって言うとみやの方が話は聞いてくれてなかったと思う


それに今日は喧嘩したくなかった

だって、みやから二人で帰ろうって誘ってくれた、遠回りして、帰ろうって

いつもは照れて嫌がるのに、手だってみやから握ってくれた


それなのに喧嘩なんてしてしまって、本当に最悪だ


「あーぁ、二人で見たかったなぁ…」


そう思うと、涙が出そうになる

何でこうも、みやの事になると涙もろいんだろう?

でも、それくらい本気でみやの事好きなんだもん


私の涙は、みやへの“好き”のしるし


「あー、あんたまた泣こうとしてる」


あと少しで、本当に涙が流れ出る所だった

後ろから大好きな声が聞こえる


「してないもん!!みやのバカっ!!」

「…はぁ、バカで良いですよー」

「ムー…て言うか、何で居るの?」


みやと分かれて結構経ったはずだ

それなのに今、みやは私の隣に居る


「あんたが二人で見たいって言ったから」


そう言って上を指差す

その顔はいつもの格好良い表情とは違って、イタズラが上手くいった時の様にはにかむ


「ウチ、梨沙子の話、ちゃんと聞いてるし」

「うん…」

「そう言う事だから、ホラっ…」


ギュッと握られる手

みやの手は少し汗ばんでいて、温かい

よく見たら、少し息も乱れている…


「ねぇ、みや…」

「んー、何?」

「イヒヒィー、何でもなーい」


走って来てくれたのか、どうかなんて関係無い

今はそれよりも二人並んで歩ける事が嬉しくて


私の頬も、みやの頬も、見上げた空も、ほんのり優しい淡いピンクに染まる


 


それは凄く美しいモノ