登校の時間
「佐紀ー」
全速力で走りながら、大きな声でシミズくんの名前を呼ぶヤジマくん
そんなヤジマくんに気付かないで、歩き続けるシミズくん
おかしいなぁ?と思いながらも呼び続けるヤジマくん
そろそろシミズくんに追いつく
手を伸ばして、シミズくんの頭に触る
「ほえっ?」
「おはよー、何度も名前呼んだじゃん」
「ごめん、コレ」
シミズくんはイヤホンをブランとさせてヤジマくんに見せる
ヤジマくんは納得した様に頷く
「佐紀早いね、いつもこんな時間?」
「いや、昨日宿題しなかったから学校でしようと思って」
シミズくんとヤジマくんは並んで歩く
二人ともまだ眠いのか、時々欠伸が出ている
「舞美は朝練?」
「うん、自由練だけど参加」
「おー、偉い」
シミズくんは少し上にあるヤジマくんの顔を見上げて棒読みで褒める
ヤジマくんはそんなんなのに嬉しそうに頷く
シミズくんはそれを呆れた様に笑う
「そう言えば、昨日桃と帰ってたね」
「桃?あー、ツグナガさん?」
「うん。トレーニング室から見えたんだー」
陸上部のヤジマくんは授業時間以外は部活に大忙し
真面目なヤジマくんはサボる事もなく部活も皆勤賞
「仲良かったっけ?」
「別にー、たまたまだよ」
シミズくんは昨日の事を思い出してみる
何かよく分からないけど、ツグナガさんは楽しそうにしていた
それはやっぱりよく分からないけど、シミズくんにとっても良い事だった気がしている
「なーんだ、桃と佐紀お似合いだって思ったのに」
「そう?ツグナガさんと僕じゃ釣り合いませんよ」
「桃人気だもんねぇー可愛いし」
ヤジマくんはニコニコと話し続ける
朝から本当に眩しいくらい爽やかな笑顔だとシミズくんは思う
ふと、疑問が浮かぶ
「ねぇ、舞美」
「なに?」
「えりかとツグナガさんどっちが可愛いと思う?」
「えっ、どっちかなぁ?」
本気で悩み始めるヤジマくん
シミズくんは苦笑いでそんなヤジマくんを見る
こんな所をウメダさんが見たら大変だなーと思いながら
「えり、かなぁ〜」
「おっ!!」
「だって、えりが作るご飯美味しいし」
ヤジマくんは然も当たり前の様にご飯基準で答える
ヤジマくんらしいと言えば、ヤジマくんらしいが可笑しくて仕方ない
「それにえりとはこれからもずっと一緒にいる気がするし」
「ふーん」
「佐紀は?」
「えりかとツグナガさん?」
う〜ん、と唸りながら考える
ヤジマくんのようにご飯基準で考えるならツグナガさんもありだ
それに、あんなに楽しそうに話す姿は忘れられないと思った
「…えりかは舞美にあげるよ」
「えー、えりはモノじゃないぞー、とか言って」
ハハハと笑い合う
話は続いている廼偉、シミズくんはずっとツグナガさんの事を考えていた