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窓の外はどうも浮かない表情で私の気持ちとどこか似ていた

窓の隣の彼女の表情はいつもと変わらない、どこかうつろな感じで

それこそ、はっきりしないその天気に融けて消えてしまいそう


私はそんな彼女の表情を見ながら、握りしめたペンをクルクルと遊ばせた


* * * * *


初めて見た彼女は友達と楽しそうにはしゃいでいた

大人びた風貌なのに、あどけない笑顔

そのギャップが魅力的で、私には凄く眩しく見えた


次に見た彼女にそんな事が見えないくらい、不機嫌…と言うよりも、

何も感じていない様な、無機質なそんな印象しか受けないくらいに無表情だった


* * * * *


「あっ…」


バッグの中をがさごそと探るけれど、どうしても無い

筆箱を忘れてしまった事に気がつく

誰かに借りなければと思い、辺りを見渡すけれど、生憎今は習熟度別の授業

違うクラスの子が何人も居て、普段一緒に居る友達が離れている


さて、どうしようかとのんびり思っている暇もない

キョロキョロしていると隣からペンを差し出される


「えっ?」

「忘れたんでしょ?使いなよ」


それだけをぶっきらぼうに言われ、彼女は机に伏した

私は、お礼を言う事も出来ずにそれを受け取った


そのクールな態度には似合わない、クジラのイラストがあしらってあるペン

私は授業中ずっとそれを眺めていた


終わったらお礼を言って、返さなきゃ

そう思っていたのに、声をかける事が出来なかった


彼女は号令とともにサッと立ち上がり、素早く移動する

何よりも、私は彼女の名前を知らなかった


* * * * *


私は結局、ペンを返せないままで居る

彼女は何も言ってこないのは、こんなペン一本どうでも良いって事なんだろう

もしかしたら、このペンを私に貸した事さえ、どうでも良かったのかもしれない


どうしてか分からない

ただ、私の心の中はモヤモヤとしていた


彼女の笑顔を眩しいと思った

だけど、今の無機質な感じも圧倒的と思わされるくらいに酷く引きつけられる


それは恐怖にも似ていて、だけど嫌いじゃない、好きだと思わされる曖昧な感情


この気持ちに名前を付けようと思えない

それはやはり、あまりにも曖昧で形にならない、そんなモノだったから


ただ、はっきりとしているのは、私の中に何か新しい感情が生まれたと言う事だけだった