左手首につけた時計をチラリと見て、スピードをあげる
ヤバい、もう来ちゃってるよ!!って気持ちと、早く会いたい!!って気持ちで足はドンドン速くなる
これは所謂愛のパワーってヤツだろうなんて、くっさい事考える余裕もない
メールが来たのは、5限の始まり
昼イチで眠い時間だったけど、一発で目が醒めた
“今日、放課後駅前で待ってて良い?”
そんなメール来たらテンション上がっちゃうし、可愛い彼女の事で心も頭もいっぱいになる
目的地の駅前の時計はもう見えている
その下でキョロキョロと落ち着かない愛理も見えている
「愛理、待った?ごめんっ!!なぁんか変な先輩に掴まっちゃって…」
「あっ、みやぁー…待ってないよ」
フニャリと笑う愛理につられて、ついつい俺も柔らかく笑ってしまう
こんなに幸せな瞬間は他にないってくらいに優しい気持ちになれる
「…で、今日どこ行くの?」
「んとねー、あの…」
ゴニョゴニョと口ごもる愛理
こういう事結構あるんだけど、嫌いじゃないなって思うのは、
上目遣いで恥ずかしそうにしている愛理が見れるから
愛理的には俺に遠慮しちゃってるんだろうけど、そんな必要無いのになって思う
俺は愛理と居れるだけでも満足出来るし、愛理のワガママなんて可愛すぎるくらいだ
「決めてない…」
「えっ?」
「ただ、みやと一緒、居たいなって思って…」
愛理はチラリと俺の機嫌を伺って、シュンと下を向いてしまう
そういう所も可愛いって思ってるの、分かってるのかな?ってくらいに愛理は俺のツボをついてくる
「そっか…じゃあ、甘いモノでも食べに行こうか」
愛理の手をギュッと握って、俺の方を向かせる
ニコって笑うと、愛理もとびきりの笑顔になる
「みや、ありがと…あっ…」
「んっ?」
愛理はチョコンと空いてる方の手で俺の頭に触れる
至近距離に愛理の顔が近づく…ヤバい…
「髪、乱れてた」
「あっ、マジ…」
愛理は確信犯じゃないのに、どうも上手にくすぐって来る
こんなに顔が近いけど、顔赤いのバレてないかな?
「はい、綺麗になった」
「ありがと」
正直、俺的にはもう甘いものなんて食べなくても良いくらい、お腹いっぱい
と言うか、愛理と居れるだけで十分になってる
でも、愛理は絶対に思考回路が“甘いもの”って所でクルクルしているだろう
現に何を食べようかブツブツと呟いている
そんな姿もいちいち可愛いなんて思うのは、俺が愛理に恋してるから
愛理は「みやと居ても妹にしか見られない」って言っていたけど、俺はそんなのどうでも良い
確かに初めて会った時は年下の女の子って事くらいしか思わなかったけど
ちょっと不思議な動きとか、人の事を思いやれる所とか良い所がいっぱいあるのを知った
て言うか、ぶっちゃけ相当可愛くなったって言うのも大きいけど
とりあえず、人がどう見ようと、俺は愛理が好きで、愛理が俺を好きって事実は変わらないから
「で、何にする?」
「んー、今日はね苺が食べたいかなー」
「じゃあケーキかクレープだね」
目的地が決まると、しっかりと手を握り合って、歩き始める
うんと幸せそうな顔を見せてくれる愛理
それが俺だけにだと思えるのは、贅沢な事だと思う
それがただ二人だけの小さな世界の出来事だって
世界中を鮮やかにする最高な事実