伝える・伝わる

気がついたら見つめてる

気がついたら思ってる

気がついたら好きで

気がついたからそう伝えた


* * * * *


先生が呪文の様にブツブツと続ける授業

さて、この授業は何の授業だっけ?と思うくらい内容が頭に入ってこない

先生が唱えているのは呪文だから魔法か何かの授業だろうと一人、頭の中で笑ってみたりする


そんな事を思っているのは私だけじゃないみたいで、視界に居る皆は思い思いにしている

寝ている子も居れば、漫画を読む子も居るし、メールに勤しんでいる子も居る

私はそういう事はしていないけど、どうも授業に身が入らないと言うか

とりあえず、起きてはいるけれど何をする訳でもなく


はぁーと誰にも聞こえないくらいの大きさでため息を吐き、ぐるっと教室全体を見渡す

私が釘付けになるのはいつも同じ一点

頬杖付いて、ぼけっと黒板を眺めている

ペンを持っては入るんだけれど、ノートに何かを書く気配は全くない


その姿は目を離した瞬間にでもこの空気に溶けて消えてしまいそうな程

儚いって言うよりも、はっきりしないって言った方がしっくり来る

そんなイメージを私はえりに持っている

皆はそんな事は無いって言うんだけど、私はどうしてかそう思ってしまう


掴みどころが無いって言うのかな?何か他の子たちとはちょっと違う感じがしてる

だからと言って、一匹狼ってワケでもないし、どっちかと言うと誰とでも仲が良い

だけど、独特な感じで、他にこんな人を私は見た事が無い


えりがいきなりピクっとこっちを振り向く

あー、横顔も綺麗だけど、正面から見ても綺麗だなーって私は思う

顔立ちとか、外見じゃなくって、全てが綺麗だ


“ウチばっか見てないで集中しなよ〜”


あんまり上手ではない字でメッセージをノートに大きく書いて、したり顔で見せて来る

ずっと見てたのがバレていて、恥ずかしい

声を出さない様にクスクス笑い続けるえり

悔しいなって思うんだけど、そういうところもえりの良さだって思ってしまう


ハッと思いついて私はまっさらなノートの1ページに太めの赤ペンでキュッキュと書きなぐる


“えりが好きだから仕方ない!!”


私はそれをえりに見せて思いっきり笑顔を作った

えりは一瞬驚いた顔をしたんだけど、私に負けないくらいの笑顔を作った


えりが机に向かって何かを書く

何だろうってソワソワするんだけど、良い予感しかしない


えりがもう一度ノートを見せて来る

私は予感が当たったのと、書いてある内容が嬉しくて

クシャクシャって笑うしか出来なかった