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パチパチと何度か瞼を動かし瞬きをして、くらいままの部屋に目を慣れさせる

顔だけ横を向けて見た時計は午前2時を示している


「…眠れない」


今までこんな事一度も無かった

部活の大会の前だって、学校の定期試験の前だって、

ベッドに入ればそんなに時間が経たなくても深い眠りに落ちていた


友達にもよく“舞美は悩みとか少なさそう、って言うか悩みなんてないでしょ?”みたいに冗談半分で言われる事があって

私も私で“んー、寝たら忘れちゃうから、悩んでる時は寝るかなー”みたいに笑い話にしてきた


だけど今、私は中々寝付けずに居る

…つまりは、本気で悩んでいるのだ


瞼を下ろせば嫌でも眠るだろうと、数時間が経った

それでも、ただ目を閉じてるだけの状態で、頭の中ではグルグルと同じ所を行ったり来たり

結局、私の目はすっきりと醒めていて、妙な高揚感に襲われている


こうなったのも全部アレのせい


* * * * *


私の通う女子高の文系の普通クラス

それはもう皆仲が良くて、結構わいわいやっている

だけどその中に一人いつも机に伏して寝ている子が居る

それが梅田さんで、私もそうだし、クラスの皆もあまり話した事がない


たまたまだった

全校集会は毎回皆まばらに並んで、先生の話を聞く子なんて皆無の状態

それにしびれを切らした先生が怒って、今回は背の順に並ばされた

珍しく部活の表彰が無かった私はその列にまぎれて居て、たまたま梅田さんの隣


綺麗に染められた茶色の髪と日本人離れした端正な横顔

チラッと何度か盗み見るほど私は惹かれていた


集会中もだるそうに突っ立ったままの彼女

私はどこか落ち着かないまま隣でソワソワ

そのまま集会自体は滞り無く終わったんだけど私はずっと可笑しかった


* * * * *


教室に帰っても目では梅田さんを追っていて

あんなに綺麗な人がどんな笑顔で笑うんだろうかとか、どんな事が好きなんだろうかとか

そんな小さなどうでも良い事ばっかり考えていた


帰りのHRが終わって、のっそりと体を動かし教室を出て行く梅田さん

私はそれを追いかけて、廊下に出た梅田さんに声をかけた


「梅田さん、バイバイ」

「…あー、バイバイ」

「あのさ、えっとー…バイバイ」

「フフッ、バイバイ」


梅田さんは小さく笑って、スタスタと廊下を歩き始めた

その笑顔と後ろ姿に私は動けなくなって、「部活行こう」って言われるまでずっとボーッとしていた


* * * * *


そんな事を思い出すと更に目が醒めて来る

時間はただただ流れるだけで、気がつけばもう午前4時

体が変にハイな状態で、血の巡りとかがドクドクと感じられる


堂々巡りを繰り返す私の思考回路

最初考え始めた所に戻っては進む、そしてまた戻る


もやもやと気持ちが悪くなって来て、いつもの私らしくない

こんなの嫌だ!!って思うとウワーって叫びたくなる

イチ、ニ、サンってカウントしていつもの私に戻りたい

だけど、どうしてこんな気持ちなのかも分かりたい


そう思うとただこうやって時間をやり過ごすだけは嫌になる

いろんな事があってカラフルになるんだ


こやってグジグジしてるのって、私らしく無いし

まだ何か分からないならスタートラインに戻って来るんじゃなくって

どんどん先に進みたいんだ


そう思い体を起こし、少し伸びをする

カーテンの外の世界は少しずつ明るくなっている

陽が昇り始めたんだ…


私はそれを眺める

自然とやるべき事、やりたい事が芽生えて来る気がする


「梅田さんに話しかけてみよう…」


うん、そうだそうしよう

その気持ちが少しずつ朝日を浴びてグングンと伸びている

私はそれが何だかいまいち分からないけど

殻を破って、新しい色を重ねて行く

どんどんカラフルにして行く事を想像するとワクワクしていた