あなたの隣に居る時は大人な私を見せたくて
それでも上手くは行かなくて
追いつこうとして一生懸命に走るんだ
ベッドの中、携帯片手に動けない、携帯の画面にはみやの名前がずらっと並んでいる
ふぅっとため息を一つ吐く
それで画面の中のメールが全て吹き飛んでくれたらどれだけ気持ちは楽になるだろうか
毎晩そんなことを考えて、メールを打つ
ごろごろと寝返りを打って、送る…送らない…なんて葛藤してみるけど
私の足りない度胸じゃ、いつも結果は一緒
送らないまま溜まって行くメールはどれだけ私がみやを好きか教えてくれる
* * * * *
みやとこの前会ったのはお遣い帰りの歩きなれた夜道
私の少し前にトボトボと歩くみや
制服姿なのに、私の何倍も大人に見えてしまうのはみやの格好良さ
「あー、梨沙子じゃん」
「みや…」
みやが振り向いて私に気付く
その顔は昔から全く変わらないくらい柔らかい笑顔
気付いた時には私の心の中にずっとあった笑顔
「何してんの?」
「んー、ママにお遣い頼まれた帰り」
私は少し早足でみやの隣に行く
…早足だけど、本当は私に出来る限りの全力疾走
みやに届く為にはそれくらいの覚悟が必要で、頑張って頑張ってやっと隣に並べる
「寒くない?」なんて言って私の手を優しく包んでくれるのは、どういう事なんだろう?
そう言う事、普通にしちゃうみやだから
私は今までずっとこの気持ちが無くならない
「梨沙子、上!!空見て!!」
「えっ、何?」
見上げた黒にはぼやける様にある白の光、まんまるとした綺麗な満月
みやはまるで小さい子供の様に「すごっく丸い」なんて感心している
私はそれを見上げるみやを見つめる
「綺麗だね」
「うん」
今、私の目にはみやしか映っていなくて
これまでずっと、これからもずっと私の心にはみやしか映らない
そんな事に気付かないみやと、そんな事を伝えられない私を
照らす様にぽっかりと月が浮かんでいた
* * * * *
みやの隣を、みやのペースで歩く
少し速くてみやみたいな大人のペース
それで歩くには私が履いていたミュールのヒールは高過ぎる
私はそれでもっと速く限界を超えるくらいの速さで歩ける様に
ううん、駆け抜ける事が出来る様になりたいと思った