Parallel 7

夜更かししているからなのか、今日久しぶりに貧血になった

前はよくあったから私はそんなに焦らなかったけど、栞菜が凄く焦ってた

普段はそういう優しさに嬉しくなったりするんだけど

そんなことを考える暇もなく、私は眠りに落ちていた


* * * * *


シーンと張りつめた空気

寝ていたはずの私の部屋じゃなくて、別の場所だって言うのはすぐ分かった


電気は点いていないけど、陽の光が差し込んで十分な明るさ

ぐるっと見渡してみるけれど、全く見覚えのない場所だった


私はあるものを見つける

広いフロアの真ん中に小さな小さなおもちゃのピアノ

誰も触っていないのにポロンと音が鳴り始める


私は少しびっくりする

その音がまるであの人の弾く音と一緒

部屋全体に澄み渡る様な音がドンドン広がって行く


それを聞いていると私は心がどんどん弾んで行く

気付かないうちに自然と口が開いて、私は歌っていた


* * * * *


私が歌っていると気付いた瞬間、部屋に響き渡っている音が変わった

ガシャーンと何かが壊れてしまう様な音

そして、激しく加速して行く

怖くなって私は耳を塞ぎたいのに、出来ない

歌う事を止めたいのに、出来ない


どんどん怖くなり、私は息が出来なくなる

グルグルと世界が回り始め、私は遂にその場に倒れ込んだ…


* * * * *


「愛理大丈夫?」

「…っ、栞菜、かんなぁー」


目が覚めると私は寮の自分の部屋に居た

眠りについた時と同じ格好、同じ場所だったお陰で

混乱状態で目覚めた私は、少しの平常を取り戻した


「凄くうなされてた」

「…そう、みたいだね」


何で私の部屋に栞菜が居るのか分からなかったけど、

栞菜が居る事で私は言い表せない程の安心を感じている


ふいにギュッと手を握られる

私も握り返すと、栞菜は小さく笑ってくれた


「愛理が貧血なんて久しぶりだから、落ち着いてられなくて」

「ごめん」

「うぅん、謝らなくて良いよ」


栞菜はもう一度だけニコッと笑って、何も言わなかった

私も何も言わなかったけれど、何故だか心地良かった


「ねぇ、栞菜」

「んー?」

「今日はずっと、ここに居て」

「…言われなくても」


私はまた眠りに落ちた

今度は夢を見る事も無く、ぐっすりと朝になるまで眠ったままだった