夜更かししているからなのか、今日久しぶりに貧血になった
前はよくあったから私はそんなに焦らなかったけど、栞菜が凄く焦ってた
普段はそういう優しさに嬉しくなったりするんだけど
そんなことを考える暇もなく、私は眠りに落ちていた
* * * * *
シーンと張りつめた空気
寝ていたはずの私の部屋じゃなくて、別の場所だって言うのはすぐ分かった
電気は点いていないけど、陽の光が差し込んで十分な明るさ
ぐるっと見渡してみるけれど、全く見覚えのない場所だった
私はあるものを見つける
広いフロアの真ん中に小さな小さなおもちゃのピアノ
誰も触っていないのにポロンと音が鳴り始める
私は少しびっくりする
その音がまるであの人の弾く音と一緒
部屋全体に澄み渡る様な音がドンドン広がって行く
それを聞いていると私は心がどんどん弾んで行く
気付かないうちに自然と口が開いて、私は歌っていた
* * * * *
私が歌っていると気付いた瞬間、部屋に響き渡っている音が変わった
ガシャーンと何かが壊れてしまう様な音
そして、激しく加速して行く
怖くなって私は耳を塞ぎたいのに、出来ない
歌う事を止めたいのに、出来ない
どんどん怖くなり、私は息が出来なくなる
グルグルと世界が回り始め、私は遂にその場に倒れ込んだ…
* * * * *
「愛理大丈夫?」
「…っ、栞菜、かんなぁー」
目が覚めると私は寮の自分の部屋に居た
眠りについた時と同じ格好、同じ場所だったお陰で
混乱状態で目覚めた私は、少しの平常を取り戻した
「凄くうなされてた」
「…そう、みたいだね」
何で私の部屋に栞菜が居るのか分からなかったけど、
栞菜が居る事で私は言い表せない程の安心を感じている
ふいにギュッと手を握られる
私も握り返すと、栞菜は小さく笑ってくれた
「愛理が貧血なんて久しぶりだから、落ち着いてられなくて」
「ごめん」
「うぅん、謝らなくて良いよ」
栞菜はもう一度だけニコッと笑って、何も言わなかった
私も何も言わなかったけれど、何故だか心地良かった
「ねぇ、栞菜」
「んー?」
「今日はずっと、ここに居て」
「…言われなくても」
私はまた眠りに落ちた
今度は夢を見る事も無く、ぐっすりと朝になるまで眠ったままだった