前よりも何か幸せそうにしている
それが不思議で、見ていて嬉しくて、でもちょっと嫌だった
* * * * *
「ねぇ、やっぱり良い事あったでしょ?」
「んー、どうだろうねぇ」
みやは雑誌を読みながら鼻歌なんて歌って、明らかに良い事があった感じ
それに、この頃みやからすっごく良い匂いがしてる
「教えてよー」
「えー、特に良い事じゃないよー…あぁ〜、ウチには良い事かも」
フフンと笑って、幸せそうなのを隠し切れていない
いつもはもうちょっと気だるそうにしてるから、差が歴然って感じ
何がみやをそうさせたのか分からないけど、私じゃない事ははっきりしている
だから、私はその原因が気になって仕方が無い
「あ〜、雑誌飽きた」
「…」
「ウチ、下行くけど梨沙子は?」
どうするの?っていつも私に選択させてくれるけど答えはいっつも一緒で、一択でしかない
私はみやと居る事しか選ばない
「みや、今日は何弾くの?」
「さぁねー、何にしようか?」
「歌えるの、私も歌えるのが良い!!」
私が気付いた頃には、みやはいつもピアノを弾いたり、歌ったりしていた
その姿は何とも言えない雰囲気で、圧倒的に綺麗だと私は思う
「う〜ん、じゃあどれにしようかなぁ…」
「えっとねぇ」
だから、二人で今日は何を歌って、明日は何を歌ってって考えている時は
何気ないけど、幸せで満ちていると思う
みやからもすっごく幸せそうな匂いがする
私はそれを体いっぱいで吸い込んで、一人で満足する
「よし、じゃあ今日は…」
みやが演奏を始める
最初のたった一つの音だけで空気が変わる
何て言うんだろう…みやの全部が伝わって来るんだと思う
私の人より少しだけ効く鼻で感じるよりも、ストレートに伝わって来る
だから、今日はやっぱり嫌だ
みやが私の知らない何かに喜びを見出しているから
一人でそんな事を考えていると級に演奏が止まる
「梨沙子、何かあった?」
「えっ、いや何にも!!何にも無いよ!!」
「あっそ、じゃああんたが言ったから弾いてんだからシャキッとしてよー」
みやはそれだけ言うとまた演奏を始めた
所々で聞こえるみやの歌声は、いつも見たいに綺麗で
私はそれだけで涙が出そうになった