窓側の席、見上げ見る空は雲一つない快晴
見える青が清々しくて、昨日のあの人の声を思い出した
* * * * *
「りーちゃん、おはよう」
「愛理、おはよう」
朝のHR前
机の上には既に1限の授業の教科書とノートを準備してある
「昨日練習して帰ったの?」
「うん、練習した」
私は今度ある合唱コンクールの伴奏をすることになって、
昨日は学校で練習をして帰るからと言って、いつも一緒に帰る愛理とは別々になった
「雷怖かったよねー!!その時まだ学校いたりした?」
「うん、それ聞いて怖くなって練習やめたもん」
愛理は雷が嫌いだから、昨日の大変さを身振り手振り付けながら一生懸命話している
私はそれを聞きながらも昨日の事を思い出していた
私が笑ったから、晴れると言ったあの人は今日も天気予報を見ないでいるのだろうか?
ちゃんと晴れましたねって、言いたいなぁって思ってる
「あっ、先生来た…じゃあ席戻るね」
「うん…あっ、あとで数学のノート貸してぇ」
「うん、分かった」
愛理が去ったあと、もう一度見上げた空は、やっぱり晴れ渡っていた
* * * * *
4限までの授業を終えて弁当を食べる
昼休みもピアノの練習をしようと思って、いつもの3倍くらいのペースで食べたから2、3度喉におかずを詰まらせかけた
音楽室は校舎の4階、先輩たちの教室がある階
あんまり目立つ様に歩いていたら、怖いから極力誰の目にもつかないようにソーッと向かう
あと少しで音楽室って所だった、あの人が居た
昨日の、あの人だ!!って私は一人で興奮しそうになった
あの人は私には全く気付いていないみたいで、廊下の窓を開けて外をボケーっと眺めているみたい
晴れたから空見てるのかな、なんて思いながら私は隣を通り過ぎた
その時フワッと優しい薫りがして私は振り返った
それは、窓から入って来たのか、それともあの人の薫りなのかは分からなかったけど、凄く気持ちの良い薫りだった
するとあの人と目が合った…
うわっ、こんな綺麗な人だったんだぁ、って私は暢気に思った
…って、そんな事を思っている暇は無いんだった
“さぁ、行かなきゃ!!”と思って、手に持った楽譜を持ち直す
「…ね、晴れたでしょ」
小さな声だったけど確かに聞こえた
ビクンとなってもう一度あの人を見る
ニヤリとあの人は格好良く笑って、真剣な顔をした後プっと吹き出して、私もつられて吹き出した
ちょっとの間二人はケラケラと目尻に涙がたまるほど笑い合った
「晴れましたね!!」
「予想通り」
「じゃあ、私行きます」
ペコリと頭を下げて小走りで音楽室に入った
* * * * *
昨日の雨が嘘だって思えるくらいに
私の気持ちはびっくりするほど青く、爽やかに、晴れ渡っていた