オレンジ色になる瞬間
君の笑顔を思い出した
* * * * *
今までHRが終わった瞬間に教室を出て
誰にも左右される事なく、自分のペースで歩く
行きたい所に行ったり、したい事をしたり
そんな生活が染み付いていた
だから部活に入ってないウチにとって
放課後の学校は案外面白いものだって、初めて知った
先生に言い付けられて仕方なくやってる教室の掃除
一人で誰も居ない教室に居る
いつもは気が狂うくらいな雰囲気が充満している教室が
何か違う場所に思える
廊下だって、階段だってそうだ
ウチは何かに誘われる様に教室から出て、廊下を走り、階段を登っていた
屋上に出る扉を、思い切り開ける
風の音がゴーっと聞こえる
ウチは何だかワクワクしていた
見たことない景色…
知らない全ての事に五感の全てがピリピリと鳴っていた
屋上全体に張り巡らせてあるフェンスにまで駆け寄る
そこから見える校庭
運動部の生徒が小さく点の様に見える
点がパラパラと動いて、何か絵を描いてるみたい
…あっ
校庭の隅の方で黒くて綺麗な輝き
すぐに舞美だって分かった
ずっと一緒に居て空気みたいな存在
そんな事になったら離婚するとか、別れるっていうのがウチにはずっと分からなかった
だってウチにとって、舞美は空気みたいな存在で、居ないと生きていけないのだ
当たり前の様に、そこに居て欲しいのだ
ウチには必要不可欠な舞美は空気なんだ
ウチは舞美がどんなに離れていても必要なんだ
だから、どこに居たって探してしまう
「…ふふっ」
ウチ、舞美の事ばっかりだって思うとちょっと面白くなった
そんなに時間は経ってないと思うのに
空はもうオレンジ色になっていて、日の早さをしる
空のオレンジ色は綺麗で、優しいって思う
まるで、舞美みたい…
「さっきから舞美ばっか…」
空から視線を外してもう一回、校庭を見る
やっぱり、直ぐに舞美を見付けられた
校庭から“片付けしろー”って声が聞こえてくる
もう、そんな時間かって思って中に向かう
さっきとは違うワクワク
舞美に会える、それだけなのに
舞美でいっぱいになってる自分が凄く気持ち良かった
* * * * *
あぁ、明日も明後日も
この空気とオレンジと
そして、舞美が当たり前でありますように