真っ黒な瞳が私を見つめて笑った
不覚にもドキってなった
* * * * *
中学校に入って最初に仲良くなったのが“かんなん”だった
他の皆は小学校も一緒だった子とかと仲良くしていたけど
中学校入学と伴に越してきたかんなんは一人ぼっちで背中を丸めて本を読んでいた
その姿が凄く綺麗で、可愛らしくて、ちょっと格好良くて
他の皆と何かが違う様な、そんな雰囲気を漂わせていた
私はその姿を一目で好きになった
「かんなん、部活行こ」
「あっ、うん」
私たちは嬉しい事に同じ部活に入った
と言うか、とある先輩に半ば強引に入れられたって言う共通点が私たちにはあった
「そろそろ最後の大会だねー」
「んー、色々あったけど最後なんだね」
「みぃたん見に来るってよ」
「マジ?張り切っちゃおうかなぁ~♪」
それでも、そんな部活―フットサルはすっごい楽しくて
元から負けず嫌いな私は最後までやりきるぞ!!って気持ちがあった
でも、正直かんなんがここまで…最後まで続くなんて思ってなかった
かんなんは1年の頃はポカーンとしてるけど
コミュニケーションだけはバッチリとる、みたいな子だった
その頃の練習してる姿はあんまり思い出せないけど、サボってた記憶もない
(因みに私は学校も部活も皆勤賞)
要するに、かんなんは部活の皆で居る事が好きみたいで
自分が出てない試合でも一生懸命応援していたし
先輩たちが引退する時は誰よりも大きな声で泣いていた
人のことを分かってあげられる
そういう所が微笑ましくて、かんなんの良い所だなって思う
いろんな事を思い出しながら部室まで歩く
キュフフって小さく笑いが込み上げる
「…って、なっきぃ聞いてる?」
「…もしかして中島いっちゃってた?」
「いっちゃってた、いっちゃってた」
かんなんは笑いながら「なっきぃは変わらないねー」なんて言う
「ごめ~ん、何て言ったの?」
「ん~」
かんなんは部室の鍵を取り出してガチャガチャと開けている
開きづらいこのドアを頑張って開けるのは、あと何回だろう?
「だからさぁ、その最後だし…」
「うん」
カチャッ…
ドアが開いた
かんなんはノブを引きながら私の方へ振り返る
「思いっきり格好良いところ見せてやる!!ってね…」
黒目がちなクリッとした瞳
前からずっと強いなって思ってた不思議な力を持った瞳
それが私を、私だけを見てそう言った
嘘偽りの無いそれが私を完璧に射抜いた
「…って、なっきぃ何か言ってよ恥ずかしいじゃん!!」
「えっ、あっ…うん!!」
「えぇっ!!なっきぃ大丈夫ですか~?らしくないよ、何か」
「…あっ!!あぁ~中島も負けませんよ!!」
ハハハッって笑いながら
少し放心状態の私の手をひいてかんなんは部室に入る
その手にもドキってしたのは繋いだ手からバレてなければ良いなって思った