廊下伝心

ちょっとだけ謝りたくて

でも、もの凄く嬉しくて


* * * * *


一人で居るのはもう慣れた


仲が良い子が居ないワケじゃない

気を遣ったり、遣われたり

そういうのがちょっと重く感じるだけ



自ら望んで、一人で居る


ただ寂しくないかって聞かれたら

寂しくないとは言い切れない


でも、ホントの自分を見せる事が出来ない方が寂しい気がして


なんて言う、強がりで意地っ張りな言い訳をしてみる


でも、本当に慣れた

慣れてしまえば気まぐれに自由に

何でも出来ちゃう気がして


登下校だって一人で大丈夫だし

昼ご飯だって一人で大丈夫



廊下を一人で歩くのだって



周りがどんな眼で桃の事を見てるかも分かってる

そんな事を気にしなきゃいけない関係なんて、まっぴらゴメンだ


だって、桃は桃なんだもん…


「桃っ!!」


そんな桃でも、案外寂しがりで

佐紀ちゃんの声を聞いたら、何故だかちょっと涙が出そうになる


「あんた、また一人で…はぁ、一緒食べる?」

「…」

「えりかも舞美も心配してんだからね」


迷惑かけてるって分かってる

もしかしたら…って不安もある


だけど、佐紀ちゃんはそうじゃない

何でか理由なんて分かんないけど、そうだって言い切れる


「でも、佐紀ちゃん見付けてくれるでしょ?」

「何言ってんの…見付けるって言うか、探さなくてもそこら辺…

 ってか、私の前に居るじゃん、桃は」


呆れたとでも言わんばかりに

桃の手を引いてくれる


少し乱暴な言い方なんだけど

そこに隠れた優しさが嘘じゃないって分かるから


「佐紀ちゃんは素直じゃないなぁ〜」

「はぁっ?」

「“桃お願い、私の隣に居て”って言えば良いじゃん♪」

「……」


佐紀ちゃんは本当に呆れた、お手上げです、みたいな表情で首を振る


こんな事普通に出来るのだって

桃と佐紀ちゃんだからだって


そんな所も安心出来て

本当は凄く嬉しいんだよ?

涙の理由は嬉しさなんだよ?


「とりあえず、行こ…二人とも待ってるから」

「…うん♪」


素直じゃないのは桃だって言うのも分かってる


だけど、いつか

いつになるかはまだ分かんないけど


“ごめんね、そして、ありがとう”


って、ちゃんと言える様になるから


それまで、あと少し

我儘な桃で居て、良いですか?