校庭楽団

いつもと変わらない、そんな今日なのに

聞こえてくる周りの音がいつもより明るく弾んでいた

* * * * *

先週からフットサル部の朝練が始まった

遅刻したら顧問がウルサイし

最高学年としての“示し”ってやつもつかない(らしい)

 

6月とは言え、朝は冷える

それに元来、早起きが苦手な私にとっては苦痛でしかない

唯一の救いは練習が楽しいって事

 

そんな私が今日、遅刻をした

 

学校に着いた時にはなっきぃが

「かんなん遅刻だから、とりあえず5周してきてー」

って、叫んできた

多分昨日だったらかなり嫌がったと思う

多分明日だったら何かしら言い訳するかもしれない

 

だけど今日だった

 

今朝は何だか調子が良い、否、今朝って言うよりさっきからだ

 

先週からの早起きが祟って

解けた靴紐を結ぶ為に座ってそのまま寝てしまった

有り得ない話なんだけど、実際にそうなっちゃったんだから仕方ない

 

時間にしたら35分程度だったと思う

人通りの多い歩道じゃなくて良かったって思ったのも束の間

 

「ひっ…」って、声が聞こえた

 

スズキさん…って言ってた

元からなのか、あんな状態の私を見たからなのか分からないけど

頼り無さそうに下がった眉

 

身長は私より高かったけど、何だか小動物みたいな雰囲気があった

 

可愛かったなぁなんて思いながら走っていると

何でもないような小石にも躓きそうになったりする

「かんなん、終わったらアップ手伝うからねぇー」って言う、なっきぃの声で我に帰る

今、何周目だっけ?もう、そろそろ良いかなって思ってペースを落とす

 

 

止まって足踏みをしながら、校庭を見渡す

 

朝練をしているのはフットサル部だけじゃない

野球、サッカー、陸上…

皆が色んな掛け声を出して頑張っている

 

今の私にはそれが楽しい音楽を奏でる様に聞こえる

頑張れって背中を押してくれてる様に聞こえる

 

「…っし、頑張るか」って言って部活の皆の元へ向かう

 

「なっきぃ、アップ手伝って~!!

 

叫んだ瞬間だった

 

…あっ、スズキさんだ

 

目が合った

ポケーっと歩いていたスズキさんがこっちを、私を見た

私は小さく頭を下げる、ニコって笑う、上手く笑えたと思う

 

カキンッ!!

 

シュパッ!!

 

ワァーッ!!

 

色んな音が奏でるハーモニー

愉快な音楽

 

理由なんて分からないけど

 

何だか今日は一日頑張れそうだ

そんな気がした