通学迷路

いつもと同じ朝だったはず

いつもと同じ通学路だったはずなのに

 

* * * * *

 

私の通学路には少し大きな公園がある

そこを突っ切るのは近道になるから利用者は結構居るらしい

 

私はそんな理由で通っているんじゃない

私の理由は花壇に咲いている花

 

公園の花壇は綺麗に手入れされているので季節ごとの花を楽しめる

私はそれが好きで、毎日通っていた

 

花を楽しみながら歩くと時間が掛かる

私は家を出る時間は必然的に早めになるから

誰とも通学中に会った事はなかった

 

今日もいつもと変わらず公園の出口に近付いていた

沢山あった花壇ももう端に近付いている

そして、その端は植木で出来た小さな迷路に繋がっている

 

小さい頃はよく遊んだ

迷路に入る度にその形が変わった様な錯覚に陥って

迷子になりそうな不安で泣いた事もあった

 

でも今となっては知っている、壁伝いにゴールまで行ける事を

 

だから毎朝通っても何の問題もなく、ただの通過点にすぎない

 

そんな迷路の入り口が昨日までと違う雰囲気になってる

花壇の花の植え替えしたのかな?とか考えたけど他の花壇はそんな事無かったし

明らかに色がおかしい

 

よく見る様な色だけど、何だっけ?

花壇じゃない、もっと違う所で見る…

 

そんな事を考えながら恐る恐る近付く

そこにあった…否、居たのは、私と同じ制服を来た女の子だった

 

起こした方が良いのかなぁ?

万が一、死んでるなら私が疑われるのかなぁ?

て言うか、何でこんな所に居るわけ?

 

色んな疑問が浮かんでくる

スルーして通る事も出来た

でも、臆病な私の足はすくんでしまって動かない

 

「ひっ…」

 

モゾモゾと目の前の子が動き出す

いきなりの事で驚いて大きめの声が出てしまう

今度は女の子が驚いたのかビクンと大きく肩を震わせる

 

「…」

「…」

 

視線が合う

大袈裟にならない様にその人を確認する

タイの色から私より一学年上、中学三年生だって分かった

 

「…今、何時?」

「えっとぉ…8時5分前くらいです…」

「んぅ~朝練遅刻決定…もうサボろっかなー」

 

ブツブツと一人で呟いて

ヒョイと飛び起きる

 

「急がないと遅刻するよ、君はえっと…」

「鈴木です…」

「スズキさんかぁ…じゃあね!!」

 

その人は制服に付いた草やら泥やらを手で払って

走って迷路の中に消えて行った…

 

「あっ、私も行かなきゃ…」

 

私も続いて迷路に入る

それはまるでウサギを追い掛けるアリスの様に

 

あの人は誰?

何て名前なんだろう?

あの人もここが通学路なのかな?

 

* * * * *

 

そして私は迷子になった

毎朝通る

あんなにも簡単な迷路で