1+1=2って言う数式が
色んな人の為に、色んなパターンがあって
それが日常なんだって気がついたりもする
* * * * *
「シーッ!!静かに!!」
普段、その言葉を向けられるのはえりかや舞美ではなかった
普段ならば桃子に向けられる言葉
「…今、桃寝てるから」
「「ごめんなさい…」」
だからかどうか分からないが、二人は状況についていけなかった
今日は撮影
楽屋にはえりか、舞美、そして今注意をした佐紀だけ
そう二人には見えた
しかし、佐紀は“桃が寝ている”そう言ったのだ
えりかが佐紀の座っているソファーを上から覗くと、そこには言葉通り桃子が居た
小さな体を更に小さく縮ませて寝ている桃子が
「…珍しいね、桃が寝てるなんて」
「うん…最近、忙しいみたいで…仕方ないよ」
寝ている桃子を見て、佐紀はそう呟く
舞美はそれを見て、優しく微笑んでこう言った
「佐紀ちゃんって普段桃の事“五月蝿い”って怒るのにちゃんと分かってるんだね」
「…何だかんだで、桃って頑張ってるからね」
佐紀は桃子の方を見て続ける
「私さ、いつの間にか身長で桃の事抜いて、気持ちも体も桃より大人みたいとか思ってたけどさ、桃は凄い」
その表情は照れて居る様にも見える
「二人みたいに大きくて桃との差がある様に見えるんじゃなくて、何て言うのかな…何か“心”の差みたいなのがあるんだよね」
「“心”の差?」
「うん、私はキャプテンだから!!みたいな責任感で大人で居なきゃいけないけど、桃ってそうじゃない」
佐紀は寝ている桃子の髪を優しく撫でる
「ふざけた様な調子で桃は言うけど、本当支えてくれてるよ」
“何か、良いなぁ…”
えりかはそう思った
信頼関係を見せつけるんじゃなくて、確かに持っているんだって二人だけで理解しあっている
「…じゃあ、今日は特別に寝させてあげるか」
「うん、そうしてくれるとありがたい」
えりかと舞美は二人で顔を見合わせて、外へ出ていく扉へ向かった
「あっ、佐紀ちゃんも寝てて良いよ」
「うん、ウチら二人外でも歩いてくるからさ」
「…ありがと」
えりかと舞美は足音を立てない様に静かに外へ向かった
* * * * *
廊下を歩きながら舞美はこう言う
「良いね、あの二人」
「うん…」
「私たちもさ、あんな感じになれるかなぁ?」
えりかは佐紀と桃子を思い浮かべてみる
「う~ん、ウチらはもっと違うよ」
「えっ?」
「あの二人の関係はあの二人にしか作れないじゃん」
えりかと舞美の関係とは似て非なる
キャプテンと桃子
リーダーとえりか
そんな関係だけど、どこか違う
「ウチらはウチらの関係があるハズだよ」
「…そっか、それもそうだね」
「うん、そうだよ」
一瞬、ハッとした様な表情になった舞美
それでも、えりかの言う事を分かって納得した様で何度か頷いた
そして、笑ってこう言った
「でも、負けてられないよ」
「うん、負けてられない」
「えり、私たちも頑張ろうね」
「うん、頑張ろう」
そう笑った舞美を見て、えりかはこんな日常を少しはありがたいモノだなと思い笑った