桜が散り始める頃
私は毎年あなたに少しだけ近付きます
それでもまだ近付けない部分の方が多くて
いつまで経ってもその背中を追い掛けないといけなくて
もどかしい様な、寂しい様な
風に乗った桜の花びらを
頑張って掴もうとするみたいな感覚に似ていて
簡単に掴めない、追い付けないから私はそれを続けてしまう
「あっ…」
握りしめた掌を
そっと開いたら淡いピンク
掴めた、掴んでしまった
ちょっとだけ良い予感がしました
あなたに会える様な、少しの間だけ隣を歩ける様な
良い予感が当たりました
後ろから聞こえたあなたの声
「愛理ー!!」
私は立ち止まって
あなたは私の隣に来てくれて
「朝から会えて良かったぁ…誕生日おめでとう」
あなたは息を整えながら
最初のプレゼントをくれました
立ち止まったら追い付けないから
どんな時でも立ち止まっちゃいけないって思うのに
あなたの声がしたら簡単に立ち止まっちゃう
だって、私が立ち止まる時は
あなたが立ち止まって私の隣に居てくれる時だから
「桜、そろそろ全部散りそうだね」
「うん、そうだね」
この桜が散って濃い緑の葉桜になる頃
あなたはまた進み始めます
そうしたら私もまた頑張って追い掛けます
また来年あなたに追い付いて、並んで、ちょっとだけ立ち止まれる様に
「でも良かった、愛理の誕生日に少しだけでも桜が咲いていて」
掌に残った桜の花びら、あなたに贈ろうと思います
押し花にでもして、あなたの名前にぴったりなしおりにしようと思います
あなたの誕生日に私と見た今年の桜を思い出す為に
来年もまた
再来年もまた
その先もまた
いつまでも
クルクル
ヒラヒラ
廻って
舞って
桜の花びら